飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「俺を好きなのはお前だけかよ」感想

俺を好きなのはお前だけかよ (電撃文庫)

〈あらすじ〉
ここで質問。もし、気になる子からデートに誘われたらどうする? しかもお相手は一人じゃない。クール系美人・コスモス先輩と可愛い系幼馴染み・ひまわりという二大美少女!! 意気揚々と待ち合わせ場所に向かうよね。そして告げられた『想い』とは! ……親友との『恋愛相談』かぁハハハ。
……やめだ! やめやめ! 『鈍感系無害キャラ』という偽りの姿から、つい本来の俺に戻ったね。でもここで俺は腐ったりなんかしない。なぜなら、恋愛相談に真摯に向き合い二人の信頼を勝ち取れば、俺のことを好きになってくれるかもしれないからな! ん? 誰が小物感ハンパないって?
そんな俺の哀しい孤軍奮闘っぷりを、傍で見つめる少女がいた。パンジーこと三色院菫子。三つ編みメガネな陰気なヤツ。まぁなんというか、俺はコイツが嫌いです。だって俺にだけ超毒舌で、いつも俺を困らせて楽しんでいるからね。だから、コイツとは関わりたくないってわけ。
なのに……俺を好きなのはお前だけかよ。

第22回電撃小説大賞金賞受賞作品。
1年ってほんとあっという間ですね。この前電撃小説大賞作品を読んだばかりのような気がする。読書量が減って余計に最近読んだように思えるのもあるかも。

平凡(?)な高校生ジョーロは同じ高校に通う二人の美少女にデートに誘われる。ひとりは愛嬌たっぷり元気娘の可愛い幼馴染・ヒマワリ。もうひとりはクールで知的な生徒会長・コスモス先輩。意気揚々デートに出かけ、二人の美少女に打ち明けられた告白されたの内容……それはジョーロの親友である熱血男子・サンちゃんに思いを寄せていることだった。サンちゃんとの仲を取り持ってくれるよう頼まれたジョーロは、二人の美少女に振り回されながら知恵を絞っていくのだが。「ジョーロ君が好きなの」図書委員で根暗のストーカー娘・パンジーに告白され、ますます状況が混迷していく学園ラブコメ。

まず最初に言っておく。
面白いから読め!
素直に推薦できる作品。いや、正直「面白い」と評判だったので結構「本当かぁ?」と斜に構えて読み始めたのだけど、聞いてたとおり間違いのない面白さだった。

ひとつの作品としてとても完成度が高い。ある種の「告白」に関するラブコメのお約束を上手く使った展開が光っている。この作品には三人のヒロインが登場するのだが、それぞれが想いを打ち明ける場面で発揮される。全く同じシチュエーションなのに、想いを打ち明けられる愛すべき主人公ジョーロの心の中のツッコミがもう冴え渡っていて腹を抱えて笑ってしまった。

おまえが平凡な高校生?
いやいやご冗談を!
最高に笑わせてくれる最高の主人公さんですよ。

想い人の前で上手く立ち回れないヒマワリとコスモス先輩。「これぞラブコメの真髄だ!」と言わんばかりの美少女二人の行動にニヤニヤ。そしてサンちゃんの「想い」とパンジーの奇妙な言動がラストに大きく関わってきて意外なのにお約束も忘れない素晴らしい作品に仕上がっている。新人さんなのに本当に凄いなあ!