飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「ゲーマーズ! 雨野景太と青春コンティニュー」感想

ゲーマーズ! 雨野景太と青春コンティニュー (富士見ファンタジア文庫)

〈あらすじ〉
趣味はゲーム。それ以外には目立った特徴もなく、かといって平凡な日常を愛していたりもしない、真の意味でのモブキャラぼっち高校生、雨野景太。そんな彼が突然、生徒会でハーレムを宣言したり、ゲームであっても遊びではないMMO世界に閉じ込められたりするわけでもなかったのだが…。「…私に付き合って、ゲーム部に、入ってみない?」学園一の美少女でゲーム部の部長、天道花憐に声をかけられるという驚くほどのラブコメテンプレ展開に遭遇。ゲーム好きな美少女たちとのラブコメの始まりかと思いきや!?こじらせゲーマーたちによるすれ違い錯綜青春ラブコメスタート!

デビュー作の『マテリアル・ゴースト』がどうも苦手だったので葵せきなさんの作品を避けていたのだけど、各ラノベ系投票企画で評価が高いこともあり読みました。結論からいうと……『ゲーマーズ!』メッチャ面白いぞおおおおおおおおおおおおおお!!!
……取り乱しました。いや、本当に面白かったもので。こんなに面白いならもっと早く読めば良かったよ!

平凡な高校生・雨野景太。学校では目立たず特に親しい友人もいない雨野であったが、全てが覆る出来事が起こる。「学園のアイドル」である美少女・天道花憐。同級生ではあるけれども雨野にとって雲の上のような存在であった天道……雨野はゲーム好きという共通点から天道が部長を務める『ゲーム部』に勧誘されることになる。二つ返事で了承するのかと思った景太の意外な答えから、すれ違いだらけのラブコメがスタートする!

可愛い女の子と「キャッキャウフフ」大好きな趣味の話をしながら楽しい毎日を送りたい。ええ、思春期の男の子なら一度ならず何度も妄想したことだと思います。妄想したんです。このお話の主人公である雨野景太は、学園一の美少女・天道に『ゲーム部』に誘われ、そういう関係になれたはずなのに……。

拒否するんですよね。雨野は。この時点で分かってしまいます。読者だけでなく、クラスメートたちも。「平凡な高校生」がいかに「自称」であるかを。そう、雨野はだいぶ変わっている高校生です。ただ大人しくてそのことに周囲が気づかなかっただけ。マイワールドを持ち、好きなことに対してどこまでも真っ直ぐな想いを抱く……鈍感少年だ。

本格的に物語が動き出すのは、雨野が天道をふった(という表現が正しいのか、どうか。たぶん正しい)後から。雨野がクラスメートのリア充・上原祐と交流を深め始めるところからだ。ここからこの物語の、ラブコメの真髄を味わうことになる。

ここで忘れてはいけないのが、もうひとりの主人公と言っても間違いではなく上原祐の存在。ガリ勉中学生が高校デビューしてイケメンリア充(彼女持つ)に大変身を遂げる。天道同様、ゲームが好きなことから雨野と友人になる上原であるが、この子が本当に良い奴。雨野よりも主人公らしい主人公さんレベル。彼がいなければ、もしかしたらこの物語は始まっていなかったかもしれない。上原はそれほど重要なキャラクターなのだ。(僕視点)

好きなゲームの種類は一緒なのに嗜好だけどは致命的に歩み寄れない星ノ宮千秋、上原の彼女である亜玖璃を加えて「どうしてここまでこんがらがった?」と疑問に感じるほど、おかしすぎて笑ってしまうラブコメ劇場が開幕。いやー、読者の視点からするととっても分かりやすい関係図なんだけど。(笑)

雨野、上原、星ノ宮を中心に作る『ゲーム同好会』は果たしてどうなるのか? これは続きを買って楽しく笑おう。