飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「火星の人」感想

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

〈あらすじ〉
画「オデッセイ」原作。 有人火星探査が開始されて3度目のミッションは、猛烈な砂嵐によりわずか6日目にして中止を余儀なくされた。だが、不運はそれだけで終わらない。火星を離脱する寸前、折れたアンテナがクルーのマーク・ワトニーを直撃、彼は砂嵐のなかへと姿を消した。ところが――。奇跡的にマークは生きていた!? 不毛の惑星に一人残された彼は限られた食料・物資、自らの技術・知識を駆使して生き延びていく。

「独り」という言葉を聞くと、思い出すのが大学生の時。一人暮らしをしていたのだけど、PS2ディスガイア」にハマって3日ほど引きこもり生活を送ったんだですよ。食料が尽きたのでコンビニに弁当を買いに行き、レジに出した際、店員さんの「温めますか?」の問いかけに声が出ず何も言えなかったというエピソード。人間、喋らずにいると咄嗟に声が出ないことを知りました。いや、主人公のワトニー君の「独り」はそんなちっちゃなもんじゃありませんが。

巨大な火星。3度目の調査ミッションのため、火星に降り立ったワトニーたち6人であったが、僅か六日で天候の悪化により退避をすることになる。その際の事故でワトニーは砂嵐に飲み込まれ、そして仲間たちは火星を飛び立ってしまう。奇跡的に生き延びたワトニーであったが、火星でひとりぼっち。火星調査のために残された資材を駆使し、ワトニーは独り生き延びて帰還する道を探り始める。

少し前に「オデッセイ」というタイトルで映画化された本作。ちなみに僕はCMで予告は見ましたが、本編は見てはいないので「どんな結末が待っているのか?」ドキドキしながら読みました。
面白かった。ハヤカワ文庫=SFということで、ワトニーに襲いかかる数々の苦難をしっかりと科学的に攻略していく。
(正直、全く意味が訳分からない描写もあった。なんかとにかく凄いことしてるんすよ)
そしてこのワトニーくん。圧倒的な孤独の中、何の助けもなしに頭を回転させて生き延びようとする「心の強さ」が強烈。僕なら数秒で気がどうかしてしまう。ワトニーが生きていることに気づいた地球側の人々が彼の心を心配したが、結構お気楽な感じでどんだけメンタル強いんだよと。

この作品を読んでいると思うのが「真の天才は自分を天才だとは思っていない」ということ。ワトニーは次々解決法をはじき出すが、それが普通のことのように感じている節がある。それは作者もそうで、いやそんな描写、凡人の僕には何を意味するかサッパリ分からないので結論を教えて下さい、という感じになります。そして驚かされるパターン。

結末は知ったけど、視覚化=映画化するとどういう描写になるのか。ものすごい気になるので映像作品も見てみます。