飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「先生とそのお布団」感想

先生とそのお布団 (ガガガ文庫)

〈あらすじ〉
これは石川布団という作家と、人語を解す「先生」と呼ばれる不思議な猫とがつむぎ合う苦悩と歓喜の日々。企画のボツ、原稿へのダメ出し、打ち切り、他社への持ち込みetc…。布団はさまざまな挫折と障害に直面しながら、それでも小説を書き続ける。ときに読者に励まされ、ときに仲間に叱咤され、素直に、愚直に、丁寧に、ときにくじけて「先生」に優しく厳しく叱咤激励されながら―。売れないライトノベル作家と「先生」とが紡ぎ合う、己が望む「何か」にまだ辿り着かぬ人たちへのエール。優しく、そして暖かな執筆譚。

個人的に以外だったのだけど、石川さんはガガガ文庫で書く(出版)するのはこれが初なんですねえ。ガガガっぽいイメージはある。なんとういか勝手なイメージですが。伝わります?

売れないラノベ作家・石川布団。作品が打ち切りになったり、企画が通らなかったりと思うようにいかない作家生活。そんな日々を支えてくれるのは、人語を話す年寄り猫の「先生」だった。先生から適切なアドバイスを受けながら、布団は苦難の作家生活を歩む。

ラノベ作家を神格化していた時期がありましたが。SNSの普及によってラノベ作家の生活が可視化されるようになって、苦労が絶えないことを知り、彼らは決して神ではなく人であることを知った訳です。

これは石川博品さんの私小説なんですかね? あまりそこは意識せずに感想を……辛い。読んでて面白いんだけど、辛かった。作家と呼ばれる人の大半が「売れない」道を歩んでいるのは理解しているけど、こう読まされると本当に辛いとしか。夢も希望もない……はずなのに、布団の挫けない心に感動する。作家さんに必要なのは書き続けること、挫けない精神なんでしょう。猫の先生も言ってますし。

布団の描く物語には強固なファンがいるんだろうなあ、と。そんなしっかりとした作品作りの姿勢にこれまた感動したり。いや、でも売れなさそうだ。(苦笑) 評価されるけど売れないの典型的な作家さんだよ。あくまでも作品の話です。なんだかんだでオチも好きですし、とてもまとまってる作品だった。