飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「竜と祭礼 ―魔法杖職人の見地から―」感想

竜と祭礼 ―魔法杖職人の見地から― (GA文庫)

〈あらすじ〉
「この杖、直してもらいます! 」
半人前の魔法杖職人であるイクスは、師の遺言により、ユーイという少女の杖を修理することになる。魔法の杖は、持ち主に合わせて作られるため千差万別。とくに伝説の職人であった師匠が手がけたユーイの杖は特別で、見たこともない材料で作られていた。 未知の素材に悪戦苦闘するイクスだったが、ユーイや姉弟子のモルナたちの助けを借り、なんとか破損していた芯材の特定に成功する。それは、竜の心臓。しかし、この世界で、竜は1000年以上前に絶滅していた――。
定められた修理期限は夏の終わりまで。一本の杖をめぐり、失われた竜を求める物語が始まる。

発売前Twitterでバズっていた作品です。
宣伝ツイートは伸びにくい中で、編集さんがイラスト(表紙)画像にコメントを付けて投稿したら伸びに伸びまくって色んな人の目に止まったのでは。これがここまで意図してやったのかどうかは気になるところだけど、これから宣伝ツイートのやり方に一石を投じたとは思う。

さて感想です。
エキゾチックな美少女ヒロイン・ユーイが持ち込んだ壊れた魔法の杖。父から相続したこの特殊すぎる杖を直すために半人前の魔法杖職人・イクスが奔走するファンタジー作品。

そうファンタジー作品。それでいて剣と魔法、更には魔獣や亜人種まで登場するコテコテなファンタジー世界なのに、驚く程バトルがない。竜の心臓という既にいない伝説上の存在の素材を使っているらしい魔法の杖を直すための物語。派手な展開はなく、淡々と物語を読ませてくれる文体に惹かれてゆく読者も多いと思う。

無愛想で率直なイクスと秘密を抱えるユーイ。主に二人の交流と成長を描いていて、読み終えた時にホッとして、この後彼等はどう関係を紡いでいくのかとても気になる一冊でした。

最後に言わせていただくとエキゾチックな美少女は好きです。