飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。 せんぱい、ひとつお願いがあります」感想

今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。 せんぱい、ひとつお願いがあります (MF文庫J)

〈あらすじ〉
双原灯火。幼馴染の妹で、同じ高校に入学してきた後輩でもある。自称・あざとい小悪魔系。自称・温もり大好きスキンシップガチ勢。そして「自称・先輩を慕う美少女」だそうだ。そんな小悪魔系(?)美少女後輩は、今日も早朝からわざわざ僕を迎えに来ている。ポイント稼ぎに余念がないな。「せんぱい!手!手繋ぎましょう!温もりくださーい!」けれども僕は、僕だけは知っている。灯火が本当は照れ屋な子犬系で、手が触れるだけで赤面し、僕をからかいながらも内心テンパっていることを。小悪魔キャラは演技でしかなく、僕に近づく口実でしかないことも。そして―今はまだ、僕を好きではないことも。

あやみさんのイラストが可愛いので買いました。
文句は言わせません!可愛いは正義です!
ブコメ続きな気がしますが……楽しく読ませて頂きました。

クールというか何処か達観したような雰囲気のある少年と、元気いっぱい「幼なじみの妹」である可愛い女の子とのラブコメ
「幼なじみの妹も幼なじみじゃないの?」という幼なじみヒロイン定義論は置いておくとして……。

ブコメ。そうかと思って読み始た訳ですが、序盤からこの二人の関係に違和感ありあり、何しろ「幼なじみの妹」こと灯花が、好意を持つには素っ気なさすぎる主人公・伊織にベタベタと懐いている状況。何かある……と思わない方がおかしい。更には伊織とかつて仲の良かった(過去形)女子たちとの人間関係が普通ではない。そんな違和感も持ちながら読む分、この奇妙な状況を説明する「何か」があると、その先の展開が楽しみになっていく。

思っていたよりもヒューマンドラマでファンタジーな作品だった。灯花との関係が進みに連れて伊織の本当の「良さ」が見えてくる。単純にワイワイとラブコメを楽しむ作品ではない点は注意した方が良いけど、綺麗な纏まりをしていて満足感ある一冊でした。