飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「数字で救う! 弱小国家 電卓で戦争する方法を求めよ。ただし敵は剣と火薬で武装しているものとする。」感想

数字で救う! 弱小国家 電卓で戦争する方法を求めよ。ただし敵は剣と火薬で武装しているものとする。 (電撃文庫)

〈あらすじ〉
小国ファヴェールの王女・ソアラは悩んでいた。隣国との緊張が高まり、戦争の気配がちらつき始めた今、国力が低い自国を守るにはどうすればよいか。父王は病に倒れ、頼みの綱の家臣たちも、前時代的な「戦いの栄誉」ばかりを重視し、国を守る具体案を誰も持たないまま。このままファヴェールは滅ぶのか……。しかし、そんな時、彼女の前にある人物が現れた。《ナオキ》――後の歴史に《魔術師》の異名を残したその青年が扱う『数字』の理論と思考は、ソアラが求めた「国を救うための力」だった……! 異能ナシ、戦闘力ナシ、頼れるのは2人の頭脳だけ……! 理系青年と、敏腕王女が『戦争』という強敵に挑む『異世界数学戦記』、ここに登場!

「キミラノ」の1巻丸ごと無料の企画で読み始めて、これは良い意味でこのまま読み進めるのはマズいと感じでそのまま購入しました。イラストが紅緒さんなのもマジ尊い

領地は広いが国力は強くない弱小国家・ファヴェールの王女・ソアラは、戦争の危機に瀕していた。まともに戦ったらとても勝てない……だというのに、ソアラの周囲の貴族たちは根性論・昔ながらの方法だけで戦いに挑もうとする者たちばかり。理論的にいきたいソアラの想いとは異なり、病床に伏せる父王にすらその考えを否定されてしまう。そんな中、異世界からやってきたという青年・ナオキはソアラの想いを汲み取り、愛する「数学」を武器に戦争と対峙していく。

戦記モノ、と呼ぶには少し違うような気もするけど。一騎当千の主人公が敵を蹴散らす!展開は全くなく、ぶっちゃけ数学が支配する別種の戦いはかなーり地味です。けれどもナオキとソアラの考えが受け入れられない中で、数字で「戦争のルール」を根底からひっくり返す爽快感はなかなか。「どうやって戦争に勝つのか?」だけでなく「どう戦争に負けると効率的か?」までも思考して、とにかく大きく大きく戦争という舞台を俯瞰しているナオキの戦略が面白い。また考え方が似ていてすぐに意気投合するナオキとソアラのコンビもサバサバしていて好感もてる。

しかし頑にソアラたちの考えを認めない父王始めとする周囲の人たちからの圧は、なんかこー、この年齢の読者になってみると、僕も認めない方に動いちゃいそうだなあ、と自分自身に対してちょっと怖い感じもしました。歳はとりたくないですねえ。もう少し物事柔軟に考えていきましょう。

あと読み終えてから気づいたのですが、サブタイトルが結構面白い(遅い)