「アリス・イン・ゴシックランドII 怪盗紳士と大聖堂の秘法」感想
アリス・イン・ゴシックランドII 怪盗紳士と大聖堂の秘法 (角川スニーカー文庫)
- 作者: 南房秀久,植田亮
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/09/30
- メディア: 文庫
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「悲しみから目を逸らそうとは思わない。君の苦しみを少しでも和らげられるのなら」
童話や伝承の人物達が入り乱れるロンドンを舞台にしたゴシックファンタジー第2弾。
伏線を張りながら綺麗にひとつの物語を纏めて締めくくる筆力は流石はベテラン作家。ただ前回同様、盛り上がりに欠けるところがあり、読み手によっては退屈に感じてしまうかも。
フランスの貴族ラウルを狙う秘密結社を斃すべく事件に挑むジェレミーとイグレイン。今回はオカルト要素の強い話だったせい…かどうかは分からないが、イグレインの洞察力を活かした推理などはほとんどなかった。主要登場人物たちの肩書きを考えるとどうしても『推理小説』のイメージが強くなるものの、この話作りの方が面白い。僕は好きです。
前回ラストだけの登場となったアリスの殺人鬼としての人格ジル。ジェレミーがジルに対して真摯に応じて対話しているのが良い。ジェレミーとジルの関係は今後どういった方向に進むのか。
どうやらこの物語はひとつ事件を解決する度にグリフィス家のメイドが増える仕様らしい。アリスに続いて人狼少女アビゲイルもメイドとして招き、ロリコン(という噂)に拍車をかけるジェレミー。
物語が終わってみれば、ラウルことルパンの一人勝ち。ラウルは今回だけじゃなくて物語に関わってきそうだ。