飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「大奥のサクラ 現代大奥女学院まるにっ!」感想

大奥のサクラ  現代大奥女学院まるにっ! (角川スニーカー文庫)

大奥のサクラ 現代大奥女学院まるにっ! (角川スニーカー文庫)


今回も血に塗れ、心を軋ませるオンナたちの闘いが描かれる。

2巻ではさくらの姐さんである『銀狼』を中心に『真っ直ぐな愛』と『歪んだ愛』の姿が展開されていく。
表紙で圧倒的存在感を見せるロリ娘こと銀狼。その表紙を見ての読者の心を声を代弁するように姐さんへの愛を暴走させるさくらが怖い。

と、そんな緊張感のない始まりから一転、序列一位の『絲妃』と序列四位の『金獅子』の二大派閥の争いに巻き込まれる。因縁のある絲妃と金獅子。そして金獅子に拾われて育て上げられ、彼女を母親と慕う銀狼。この三人の『愛のカタチ』が物語を転がしていく。堂々とした出で立ちの金獅子が、しかし実は大事なものを失いたくないがために弱気になっていたさくらが活を入れる場面は良い。慕っていた金獅子への愛憎故に狂気に走ってしまった絲妃が、最愛の娘である銀狼を殺そうと追い詰めるところで、颯爽と熱い心を蘇らせた金獅子が救い、絲妃とともに逝く。絲妃と金獅子といった大奥を支配していた者達が去り、新世代のオンナたちの闘いが始まる。

血なまぐさい闘いの合間に挟まれる秀影とさくらのイチャイチャですが、これはニヤニヤ見守る種のものではなく「イラッ☆」ときますね。しかしこの愛も強固なものではなく、ちょっとしたことで崩壊する危ういものであるのを感じて切なくなる。