飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「七星降霊学園のアクマ 01 グラトニー・シールド」感想

七星降霊学園のアクマ  01 グラトニー・シールド  (角川スニーカー文庫)

七星降霊学園のアクマ 01 グラトニー・シールド (角川スニーカー文庫)

〈あらすじ〉
「止まらない!助けて、にぃちゃん!」「雪伽!」
僕、花村月斗と双子の妹・雪伽は悪魔を討つ“降霊士”を目指して七星降霊学園で勉強中だ。志望のクラスに入るための試験で、僕らは天使召喚しようとして暴走。
魔法陣から出てきたのは―「吾輩はネコではない!悪魔だ!」という金目の黒ネコで!?
違法の悪魔召喚をしてしまった僕らは、戦闘系でも支援系でもない「その他」のクラスXに入ることに!?
兄妹イチャラブアクション開幕。

面白い!個人的にはツボをぐいぐい押される作品だった。
人間と敵対する悪魔が存在する世界。その悪魔に対抗するため天使の力を召喚することができる『降霊士』を目指す双子の花村兄妹の活躍を描く。
が、ただ真っ直ぐ『降霊士』を目指せるほど物語は甘くない。『降霊士』になるべく七星降霊学園で日夜勉学に励む兄・月斗と妹・雪伽であったが、トラブルによって御法度である悪魔召喚をしてしまい、ひとりの悪魔を喚び出してしまう。しかもその悪魔は召喚の際にこれまたトラブルで大天使と融合した魔王だと言うではないか。見た目はただの『猫』にしか見えない悪魔カグラを召喚してしまったことで、通常の進級コースから外れた双子が放り込まれるのが問題児ばかりのクラス。両親を悪魔に殺された過去を持つ花村兄妹は悪魔カグラに対する苦い想いを抱えながら、曲者揃いの新たな仲間と共に悪魔が引き起こす事件に巻き込まれるも、その高い可能性を示すというのが物語の展開である。
双子(兄妹)が主人公の場合、どちらかが優秀でどちらかが落ち零れあるいは平凡である設定が多いと思う。この作品も基本的には妹である雪伽が優等生という扱いなのだが、極度の緊張状態には滅法弱いため動揺しまくり月斗に助けを求めてしまう重度のブラコンっぷり。そんな妹の家族愛を正面から受け止めて違和感を持たない月斗もシスコン全開。主人公とヒロインが兄妹で成り立っているイチャラブ空間に割って入るのが、美少女に化けることができるカグラ。見るからに毒々しい料理(だが美味い!)や、尊大な態度を取るも根は素直なカグラは世間一般に認知される凶悪な悪魔とはまるで違うため、双子を…特に悪魔に強い恨みを持つ月斗を混乱させる。周囲の悪魔に対する恐怖を鑑みずに行動するカグラに怒る月斗ではあるが、反省したカグラの『普通の料理』を食べて、悪魔への想いはとは別に、カグラという存在に対する距離はぐっと近づいたと思う。
そんなカグラとは違い、実に悪魔らしい振る舞いをする中級悪魔ガーゴイルとの戦いで、双子だけでなく、他の問題児…優秀ではあるも魔力が人よりも極端に少ない上にコミュ障害の柚子と、古い形態の退魔術しか扱えないボブ(あだ名)も活躍する。問題児揃いの『クラスX』は他の『降霊士』には出来ない独自の戦いを展開して面白い。射撃の雪伽はともかく、盾で護りながら戦う月斗の戦い方は反則だろ(笑)確かに盾は鈍器にもなるが、カグラの力で形状が変わる盾というのは便利な『武器』ですな。
その盾にカグラの力を乗せると上級悪魔まで屠れる…が、勿論制約もあるみたいで使用は強くオススメ出来ない、と。そのカグラは悪魔の親玉との因縁を持つ『裏切り者』と呼ばれていることから、悪魔たちに相当な恨みを買っている様子。上級悪魔のゼノンはどうやってでもカグラと戦いらしいので、何らかの手段を使い学園に潜入してクラスメートにでもなりそうな勢い。
最後に登場した残りの問題児。やっぱ女性ライダーはフラグだったか…カグラがいうことが確かなら、どちらかが悪魔ということに。もしかしてゼノン?…うん、あまり深く考えずに次を待とう!