飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「聖断罪ドロシー01 絶対魔王少女は従わない」感想

聖断罪ドロシー01  絶対魔王少女は従わない (角川スニーカー文庫)

聖断罪ドロシー01 絶対魔王少女は従わない (角川スニーカー文庫)

〈あらすじ〉
大陸を手中にしようとする第七帝国に攻め込まれ、王宮を乗っ取られたレベルデッド魔王国。
命からがら生き残った王女のドロシーは、幼馴染みにして護衛の天才魔法使いカルアと共に追っ手をかいくぐり、帝国領土内での逃避行を続けていた。
目的地は国境の向こう側、親交のあった遠国の王家。
しかしドロシーは旅の途中で目にする、涙に暮れる民衆を放っておけず、事件に首を突っ込んでしまう正義の破天荒な娘だった!
その原因が、帝国の支配のせいと気づいたドロシーは、「帝国を倒して、"絶対魔王"になって大陸全土に善政を敷く!」と言いだし!?
強大なる敵の打倒を掲げ、無謀極まりない痛快世直し旅が開幕!
たったふたりきりの大陸制覇、その行く末はいかに!?

十文字青が紡ぐ新たな物語。
『魔王の娘』として追われる身のドロシーと彼女を護る魔法使いのカルア。執拗な帝国軍の刺客と幾度となく戦い、その魔の手から逃れながらドロシーを匿ってくれる国への逃亡の旅が続いている。
帝国からの追っ手があるだけで過酷な旅なのに「絶対魔王になり、善政を敷く」と力強く言うドロシーは、純粋な心の持ち主故に困っている人を放ってはおけない。逃避行中立ち寄った街の貧民街で起きている子供誘拐事件に首を突っ込むことになる。そんな真っ直ぐな性格のドロシーに振り回されるカルアは苦労人気質で、16歳という年齢には似つかわしくないくたびれた印象。カルアは溜息を吐きながらドロシーの行動を諫めようとするが、それが無理だと分かるとぶつくさ文句を言いつつも彼女を護るためにしっかり行動をしている。実に気の良い奴ではあるのだが、胸が大きい女の子を意識せずにいられないのが玉に瑕。胸の小さいドロシーはすごく気にしています。
設定等深く語られぬまま話が展開されていくのだが、十文字青らしいセンスで詠唱する魔法や人間とは到底思えない敵との戦いなど、流れで設定を魅せてくれる作りになっているので訳が分からず途方に暮れることはない。ドロシーとカルアの過去も含めて、少しずつ語られていくだろう。特にドロシーの身に流れる『魔王の血』は、彼女の『絶対魔王』になる願いを叶える力になるのか、それとも彼女の夢を滅ぼす結果になるのか。それはもっと『魔王』について知らないと分からない。
ドロシーとカルア。王女と宮廷付きの魔法使い。本来ならば主従関係に過ぎない二人の関係は、とても不思議だ。
兄妹?幼馴染み?恋人?そのどれとも違い、どれでもあるような近しい間柄。互いを大切に想っているのはドロシーの態度、カルアの態度を見ていれば誰にでも分かることで、これから二人の関係がどう移り変わっていくのかが楽しみ。読者にとっても愛しい人である『魔王の娘』をどうか護り続けてください。