飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「もちろんでございます、お嬢様1」感想

もちろんでございます、お嬢様1 (ファミ通文庫)

もちろんでございます、お嬢様1 (ファミ通文庫)

〈あらすじ〉
生まれ持った『天恵』でお国のために戦うことを夢見ていた鬼島九郎。
しかしニッポンは敗北、アングリアの属国となる。現実を受け入れられない九郎だが、かつての仲間たちに背中を押され、戦勝国アングリア人御用達の『マグノリア・ホテル』でなんとか働けることに。
でもこのコンシェルジュって……何?
吹き荒れる攘夷の嵐!『L』なお嬢様方の無茶振り!! そして夜ごと聞こえる幽霊の囁き??
それでも決して「ノー」とは言えないラブコメ、麗しく開幕!

いやいや、これラブコメじゃないよね(笑)
思っていたモノとは違ったけれど、中身は九郎くんの意地っ張り具合と苦悩が溢れて実にグッドです。

「お国のために」
『天恵』と呼ばれる異能を持ち、ニッポンのために戦うことを望んでいた鬼島九郎。しかしその願いは叶わず、ニッポンはアングリア連合王国に敗戦してしまう。
燃え切らない想いを胸に抱きながら、時は経つ。アングリアの属国になったニッポンで就職先を探す九郎であったが、固い性格が災いしてなかなか職につけない。そんな九郎を偶然が重なり、アングリア人専用ホテル『マグノリア・ホテル』の副支配人に見込まれ『コンシェルジュ』として雇われることになる。

『コンシェルジュ』は決して「ノー」と言ってはいけない。
ニッポンのために戦い、打倒アングリアを誓っていた少年が、アングリア人のために働く。それもアングリア人のお客様の相談を親身になって応じるホテルマン…『コンシェルジュ』になるという皮肉が何とも。

就職先出来たとはいえ、九郎は自分の立ち位置に悩み葛藤する。しかもマグノリアに泊まる上客は我儘な無理難題を九郎にふっかけてくるのだから新米コンシェルジュには溜まったものではない。

が、九郎の生真面目な性格が逃げることを許さない。文句ばかりのアングリア人のお嬢様に最初は力技込みで解決したかと思えば、未亡人の奥様の深い悩みに応じるコンシェルジュへの適応っぷりがすごい。

コンシェルジュとして急速に成長する九郎が出逢ったアンジェリカは自らを幽霊と称するお嬢様。九郎の中で燻る想いを見破り、マグノリアに泊まるお客様以上に我儘な想いを叶えようとする反アングリア勢力に立ち向かう決意をさせる。アンジェリカは安楽椅子というか、ホテルの中から全てを見通す立ち位置にいるのかな。

しかしこのお話のメインヒロインはもしかしてアンジェリカではなく、戦うコンシェルジュの紅緒さんなのか…何だかんだで九郎と同じ状況にいる彼女が一番影響を与えているように思える。男勝りな紅緒ではなく乙女な部分もみたいぞ!