飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「オトメ3原則! 3」感想

オトメ3原則! 3 (オトメ3原則!シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

オトメ3原則! 3 (オトメ3原則!シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

〈あらすじ〉
夏休みの課題を乗り越えた本気、遙、ラブは無事二学期を迎えた。
しかし合宿での事件でラブの存在が学校関係者にばれた事から騒動が勃発。
転入してきた少女に触発されて、ラブも経験値を貯めるため学校に通うことに。
新しい出会いやたくさんの人たちとのふれあいに急成長するラブだが、彼女の成長を厳しい目で見つめる影の存在に、まだ誰も気づいていなかった。
愛と科学のSF風学園ラブコメ、注目の第3幕!

口絵を開いてひっくり返して見てみたら、ラブと新キャラの神楽さんが絡む想像力を刺激されるイラストが!
くっ…!静まれ!俺の百合色の想像力ぅ!!
なんて、緊張感のないことを言っている場合ではなかった。

家族のように感じているとても近い人だから、疎かにしてしまうことがある。
夏休みの合宿で起きた事件を乗り越え、ひとつ成長をした本気、遙、ラブ、そしてロボロボ部の面々。二学期を迎えた彼等を待っていたのは更なる成長を求める周囲の期待と、上手く吐き出すことの出来ない想い。そして不可思議な転校生・神楽だった。
全ての出来事はラブを中心に起きるため、彼女の学校入学は当然の流れではあるけれど…ロボットが学校に通えるようにしてしまう明里の力が凄い。「明里ならこれくらいやっても不思議ではない」と読者に思わせる明里というキャラクターの説得力が何か無茶苦茶な気がする。そんな明里さんが僕は好きです(笑)

そんな訳で学校に通えるようになったラブ。そこで作った初めての友達。新しい環境に直ぐさま適応するラブは、これまでの自分の成長を示すようで本気の中に眠る熱い想いを揺り動かす。もうひとり、心を揺さぶられている遙は本気がラブ…ロボットに関することに時間を割き、三原則を疎かにしていると感じ始め、苛立ちを募らせる。外側から見ていると、本気は遙の三原則を蔑ろにしてはおらず、また遙もラブとの距離が縮まっているのを感じているため嫌な訳ではない。なんともじれったい状況。

想いが拗れていく中、本気と遙の心を繋いだのはラブの叫び。
直接その想いを伝える。人だからこそ出来ること。そして近ければ近い人であるほど意識から外れてしまうこと。
吐き出すだけ吐き出して。温かいほどにぎゅっと縮まった三人の想い。正直になった本気と遙、その二人を繋ぐラブの絆はそうそう断ち切れるものではない。
だからこそ、ロボットとして合ってはならない0システムを持つラブの存在を否定するプロトⅠの言葉を、本気は真っ向から抗った。人以上に人らしく成長するラブは、ロボットだけではなく人の可能性をも切り開いてくれる存在。決して失ってはいけない『命』を救うため、本気は自分の可能性を信じて向き合う。ラブ…生きてくれ…!!