飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「セブンスホールの魔女」感想

セブンスホールの魔女 (ガガガ文庫 い 6-1)

〈あらすじ〉
“ホール”と呼ばれる穴によって、異世界の怪物たちが現れるようになった世界。主人公の泉野原アカザは腕利きの“魔力持ち”として活躍していたが、ある事件をキッカケに魔力を封じられてしまう。そこへ怪物退治を生業とする巨大民間企業“世界対策株式会社”のCEOである高坂ゾフィーから、ある企業の社長にならないかと誘われ、その申し出を引き受ける。しかしアカザが社長として就任した会社は落ちこぼれの魔女たちが集まる会社だった。新米社長と落ちこぼれ魔女たちのバトルファンタジー。魔法の損害は、経費で落とせますか?

ふゆの春秋さんのイラスト、引き込まれるなあ。気づいた時には手に取ってレジに持って行ってた。なんという吸引力。

世界に七つ存在する異世界と繋がる『穴』
『穴』からは恐ろしい怪物が出現し、人を襲う。二十歳の青年・泉野原アカザは両親を殺した『穴』を憎み、単独で破壊しようとする『魔力持ち』…異能の持ち主の中でも突出した能力者であった。しかし『穴』を目前に、守護者を名乗る『魔女』によって魔力を封じられてしまう。
ただの人になってから三ヶ月後。自堕落な生活を送っていたアカザのもとにやってきたのは、少女ハル。ハルに連れされ『穴』に関わる事件を解決する『魔女』たちの企業『世界対策株式会社』のCEOゾフィーはアカザに、経験を活かして子会社の社長になって欲しいと打診する。それを引き受けたアカザであったが、彼が社長となった『空飛ぶ魔女』の社員たち…『魔女』たちは問題児だらけで、アカザを悩ませることになる。

あっさり味の物語。起承転結ハッキリしていて、読みやすくはあるけれど、ちょっと物足りなさを覚える。

主人公のアカザは復讐のために『穴』を破壊しようと行動し、そこから這い出す化物どもを狩っている。それだけに団体行動を知らず、新米社長となった時、能力の使い方と性格に問題のある『魔女』たちを御せずに落ち込んでいく。しかし「人」の温かさを知って行く内に、彼女たちの心を掴み、社長として突き進む、というのが大まかな展開。非常に分かりやすい。が、分かりやすいだけに、アカザの心理が軽く変わってしまっているのが、どうにも好意を抱きにくい感じになっている。もう少し丁寧に描いて頂ければ楽しく読めたかな、と思います。