飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「魔法剣士のエクストラ」感想

魔法剣士のエクストラ (HJ文庫)

〈あらすじ〉
魔法が世界を満たし、大空に浮かぶ【天空母島(アーク)】が人々の新たな大地となって幾年。新設学園に魔導教官として赴任した《英雄》竜城零人は、そこで勝利への意志を持ちながらも才能を燻らせる3人の少女と出会い、彼女たちを魔導の祭典【大魔決戦祭(レガリアマギカ)】の頂点へ導くことを決意する――。《最強》が少女たちを覇者へと導く、育成&バトルファンタジー、開幕!!

この作家さんのデビュー作は読んでいたのですが……いや、同じ作家だと思えないほど今回は楽しく読めました。やはり三作品は読まないとその作家を評価することはできないな、と心の底から思うなど。

地上を失った人類は空に浮かぶ島の上で国を創り、超常なる力である魔法を行使する魔導士を中心とした社会が形成されていた。世界にたった五人しかいない最高峰の魔道士のひとりにして、一国を統治する女王アースラの依頼を受け、新設されたばかりの学校の魔導教官を務めることになった少年・龍城零人。若くして『英雄』と呼ばれる零人が受け持つことになるのは、巨大な可能性を秘めた三人の美少女たち。各国が魔導の覇を競い合う『レガリアマギカ』で彼女たちを勝たせるため、零人は三人に『零人流』の教育を施していく。

ドカドカ飛び出す中二病用語……ゲフンゲフン、設定用語に心踊るぜ!
世界観を形作る設定をどう読ませるのか。確かな強さを感じさせながら、殻を破りきれない三人の半人前たち。彼女たちに魔法を教えながら、同時に読者にも魔法を中心としたこの世界観を分かりやすく伝えていことを素直に褒めたい。ほんと、読んでいて苦にならないし、面倒にならないんだよねえ。

最強と言っていい力を持つ零人。複雑な過去を抱える彼の存在そのものがこれから本格的に紡ぎ出される物語の鍵になっているのは間違いない。彼を中心に進行する世界の暗部を展開と、華々しい魔導士たちの祭典。後者に関しては、最強である零人は前には出てこず…と、いうか前に出て来れないのだけど…三人の美少女たちが強敵に向かい試行錯誤と成長を見せながら挑む姿が描かれている。この二つの物語が絡み合い、とても面白い物語に仕上がっている。