飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「神滅騎竜の英雄叙事詩(サーガディア)」感想

神滅騎竜の英雄叙事詩(サーガディア) (このライトノベルがすごい!文庫)

〈あらすじ〉
大陸の約三分の一を版図とするアルタニア神聖国。この地には二百年ほど前から、毎週「災曜日」に巨大な異形の怪物「災神」が現れる。災神は都市を襲い、建物を破壊し、人々を殺戮するが、日付が変わった瞬間に靄のように消え失せてしまう。災神に立ち向かうことは人間にとってほぼ不可能で、せいぜい24時間誘導し続け、被害を減らすことが精一杯だった。だが唯一、竜と契約して「竜騎士」となった者だけが、神を斃せる力を行使できた――。

好みのファンタジー世界だな、これは。
夕仁さんのイラストも世界観にマッチしていたし、物語や設定に粗さはあるものの今後シリーズ展開するのなら応援したい一冊だった。

アルタニア神聖国を二百年前から襲う謎の災厄。一週間の内、災曜日の一日だけ出現する塵の怪物『災神』によって都市は破壊され人が無慈悲に殺される。しかも普通の人間には斃すことは出来ず、竜に跨る騎士たちは都市から災神を遠ざけるように攻撃したり誘導することしか敵わない。唯一、災神を斃すことができるのは、『竜騎士』と呼ばれるほんの一握りの人間だけ。都市オゼットの防衛軍に属しチームの班長であるコーキは災神を上手く誘導できないことから『逃げ腰班長』と揶揄されていた。そんな彼が幼馴染の騎士・フレデリカと再会したことから物語は大きく動き始める。

災神と積極的に戦わないことから蔑まれるコーキ。実はそんなことはなく、コーキは竜騎士であり、災神を打ち倒すことのできる貴重な人材。しかしそれは表には出さず、周囲の評判など何処吹く風、命を賭けて敵と向き合うコーキの姿に、可愛い部下たちが心から従っているのは頷ける。まあ当のコーキ本人は愛竜に首ったけだけど。

再会したフレデリカは昔と変わらず熱血少女。暴走気味なフレデリカに手を焼くコーキはやはり苦労人。また竜騎士であるコーキに対するフレデリカの心境も複雑で、竜騎士のコーキを誇っているようでもあり、嫉妬しているようでもある。物語はこの二人の成長を軸に描かれて行く。

一週間に一日だけ現れる巨大な敵、という設定はなかなか面白い。そしてそれを倒せる竜騎士は、王都に囲われてしまって実戦にはほとんど出てこない、宝の持ち腐れな状況。死闘を繰り広げるコーキがいかに貴重な存在か分かる。そんな中、災神に関わる陰謀にコーキとフレデリカは挑むことになる。事件を通じて成長するコーキとフレデリカ、彼等の物語をもっと読みたい。