飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「聖剣と邪刀の叛逆者<デュアルソード・リベレーター>01. 学園封鎖ゲーム」感想

聖剣と邪刀の叛逆者<デュアルソード・リベレーター>01. 学園封鎖ゲーム (MF文庫J)

〈あらすじ〉
「ねぇ龍くん。今夜一緒に学校のプールに忍び込まない?」ある日の放課後、一年の八雲龍はクラスメイトの七海優希からそんな誘いを受ける。異能力者が集うこの神城学園は現在、史上最強と名高い生徒会長によって封鎖され、生徒は学園敷地内に軟禁されていた。自由を取り戻すには『決闘』で5人の支配者を倒すしかない。立ち向かう一部の生徒は勇者と呼ばれたが、『半径3m以内に分身を出現できる』だけでおよそ戦闘に向かない龍は、その他大勢の観測者の一人だった。――しかしその日、龍が深夜の校舎で偶然一本の剣を手に入れたことで学園の勢力図は一変、龍は叛逆者として立ち上がる! 聖剣と邪刀が切り拓く、壮大な学園バトルアクション、開幕!

独特のコミカルさを取り入れた岩波さんらしさの出ている異能バトルモノで、僕は楽しく読めました。舞台設定そのものはありふれたものなのに、良く料理できていると思う。

15歳で迎える4月1日から18歳で迎える3月31日までの限定期間で異能を使える少年少女たちが現れる世界。幸運にも異能を手にした八雲龍は、政府が管理する『神代学園』に入学し、反抗心の起こらないよう何不自由ない学園生活を過ごす…ことになるはずだった。入学から一ヶ月近くが経った日、生徒会長の命令のもと『学園閉鎖ゲーム』が行われることになる。異能力によって学園から外に出ることのできなくなった龍たち学園の生徒。解放されるには生徒会長を含めた5人の実力者を『決闘』で打ち倒さなくてはならない。低レベルの異能力しか持たない龍は事態を傍観していたが、強力な力の宿る「聖剣と邪刀」の噂の真偽を確かめるため、クラスメイトの優希と共に秘密裏に行動を開始するのだが……。

異能力を持った少年少女しかいない閉鎖された学園。そこで行われるゲームをクリアしないと脱出することはできない。「自分を中心に半径3メートル以内に分身を出現させて動かす」という分身の術のような異能を持つ龍。設定だけを聞くとそれほど面白味のない力に思えるが、分離した方の自分は欲望に忠実なおバカさんだったり、分離すると持っているモノも分離している間は二つになるなど細かい能力設定があり、龍が能力を活用する度に、奥の深い異能であることが分かってくる。

使い方によっては強力な異能力者と戦うこともできるが、しかし次元の違う異能力者とどう戦って行くかというと、そこで登場するのが聖剣と邪刀だ。二人の龍が聖剣と邪刀、それぞれ持ち強敵と対するところがこの巻の最終戦になるが、聖剣と邪刀を手に入れて使うまでの過程も結構面白かったりする。

そして何より。ヒロインですよヒロイン。龍に惚れてる正統派のヒロインである元気娘の優希に、クールだが天然の九条、また本来は敵であるはずの異能力者の上級生など、コミカルさを発揮するヒロインが実に可愛い。特に優希の元気な姿勢には思わず笑ってしまう力がある。