飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「天網炎上カグツチ」感想

天網炎上カグツチ (ガガガ文庫 す 4-6)

あらすじ
“炎上体質”によってネット炎上を繰り返し、ついにネット断ちを決意した高校生・匂坂焔。そんな焔の前に現れたのは、大企業・八雲重工の令嬢である華蓮だった。彼女に誘われ、焔は人型パワードアーマー《カグツチ》に搭乗するが――その動力は、まさかの『炎上』!? 「立ち上がりなさい匂坂くん!ネットで炎上して地球の平和を守るのよ!」「いやです!」全力拒否するも、正論バカっ娘の京子、ネットアイドルの由希、神絵師の桃香らと共に「ネットの闇」に立ち向かうことになり――? ネット炎上型ヒーローアクション、熱く開幕ッ!

10年前、インターネットは契約した際に使っていたパソコンでないと接続できないと何故か信じ込み、新しいパソコンを買ったのにわざわざ古いパソコンを使ってインターネットをしていました。その程度の知識しかなかった僕が、Twitterを使いブログまでやっているのだから人生というのは良く分からない。いや、「人生」とか言うほど大きな出来事でもなかったわ。

インターネット上で何を書き込んでも「炎上」してしまう特異体質の高校生・匂坂焰。炎上して可愛い妹に心配されるのが嫌だとついにインターネットを引退することを決意した焰であったが、彼の通う高校の副生徒会長にして超大企業の社長・八雲華蓮の野望がそれを許さない。華蓮に連れてこられた八雲重工で見たのは、人側のパワードスーツ。その名はインフレーム初号機『カグツチ』という。人の感情をエネルギーに変換して動くインフレームは、焰のSNSアカウントと連携。焰の書き込みが炎上しそれを莫大なエネルギーにして、インターネット根絶を掲げる悪の組織を討とうとする。しかし炎上の精神的ダメージを知る焰はこれを拒否…するのだがインフレーム弐号機『プロメテウス』を装着した正義バカ
少女・戌井京子の危機を目にし、戦うことになる。

砂義さんの新作、ええ、この時点である程度察していましたよ。前作『寄生彼女サナ』は斜め上の設定でありながらしっかりラブコメをしていた作品でした。さて今作はというと…やっぱり斜め上の設定あるにも限らず、しっかり燃える展開を見せてくれるヒーローモノ。あ、褒め言葉ですよ、これ。

炎上体質のヒーローってなんですか? (笑)もうあらすじ読んだ時点でツッコミしか出てこねえよ!
「炎上」と「ヒーロー」ある意味矛盾している二つの要素を組み合わせ、それを見事に使いこなす。炎上にかけては右に出る者はいないほど、些細なことを書いても炎上、空気読めないことを書いても炎上、正論を言ってもやっぱり炎上する焰。もう読んでいて可哀想になるくらい簡単に炎上する。こいつが何かを発言することが気に入らない、ただしインターネットに限る状態の焰の才能をエネルギーに変え、悪と戦う武器にする。この才能をインフレームで活かさず何に活かすのか分からないレベル。

インターネットではボッコボコに突っ込まれるけれど、現実ではツッコミ体質であるようで、豆腐メンタルの正義少女・京子やネトゲ廃人残念系美人の華蓮など、ボケ倒しのヒロインたちに的確にツッコミを入れていてその会話がやたらと面白かったりする。この会話のテンポ、僕好きですわ。炎上したくないとぶつくさ言いながらも、京子たち仲間を想って戦いに挑み、精神的ダメージを負う焰の男っぷりにも惚れる。主人公に好感を抱け