飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」感想

ロクでなし魔術講師と禁忌教典 (富士見ファンタジア文庫)

〈あらすじ〉
アルザーノ帝国魔術学院非常勤講師・グレン=レーダスは、自習→居眠りの常習犯。まともに教壇に立ったと思いきや、黒板に教科書を釘で打ち付けたりと、生徒もあきれるロクでなし。そんなグレンに本気でキレた生徒、“教師泣かせ”のシスティーナ=フィーベルから決闘を申し込まれるも―結果は大差でグレンが敗北という残念な幕切れで…。しかし、学院を襲う未曾有のテロ事件に生徒たちが巻き込まれた時、「俺の生徒に手ぇ出してんじゃねえよ」グレンの本領が発揮される!第26回ファンタジア大賞“大賞”受賞の超破天荒新世代学園アクションファンタジー!

「アニメ化決定!」というのを見た気がしたので購入しました。評判も上々らしいのでどーんと構えて読みましたが、うん、これは面白い。また三嶋くろねさんのイラストはカラーもモノクロも美して素敵出すね!

高名な魔術師に育てられたグレンは、アルザーノ帝国魔術学院の非常勤魔術講師となる。しかし魔術師でありながら魔術が大嫌いな上にやる気のないグレンはまともな授業をせず、自習ばかりのロクデナシ講師っぷり。真面目で優秀な生徒・システィーナはグレンの態度に激怒、謝罪させようと決闘を申し込む。その結果はグレンの負け、それでも反省することなく相変わらずの授業を続けるのだが……システィーナの友人・ルミアの想い、そして学院に迫るテロリストの脅威がグレンの「本気」を呼び覚ます!

新人賞作品として非常に完成された一冊。起承転結がハッキリしていて、ロクでなしと非難されるグレンが周囲を、特にシスティーナを見返すシーンへの乗って生き方は痛快だったな。システィーナの生真面目すぎる性格は序盤こそ好ましいものに思えないが、後半にはグレンへの信頼もあって回復、戦いのシーンで見せ場もありヒロインとして大活躍もしていた。秘められた過去を持つ友人・ルミアとの性格のバランスもグッド。グレンに突っかかっていくシスティーナと、それを宥めるルミア……グレンが講師として目覚めるキッカケがルミアになるのはちょっと意外だった。

魔術師としては三流だけど、たったひとつ、優れた才能を持つグレンには黒い過去があるなど、続編に繋げられる作りになっている。登場キャラクターはそう多くはなく、ある意味小さくまとめってしまっているけど、これはまあ新人賞作品だからだろう。なのでシリーズ作品よして長い目で見るといろいろと面白い展開に持って行ってくれるんだろうなあ、と。