飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「カネは敗者のまわりもの」感想

カネは敗者のまわりもの (ファンタジア文庫)

〈あらすじ〉
金額次第で超常現象さえも買える悪魔のカネ“魔石通貨”。その争奪戦『取引』に明け暮れる高校生、失井敗斗は「ますたーが望むのであれば、えっちなことをされても…」戦利品として手に入れた『資産』の少女、メリアの所有者となる。カネ至上主義の敗斗は仰くメリアを売り払おうとしたり、命がけの『取引』に利用したり、非道な扱いをするのだが…。メリアが宿す秘密が暴かれ、世界の標的となったとき「買い付ける。未来永劫メリアを奪おうと思えなくなるほどの恐怖を」敗北を宿命づけられた少年が選んだのは、世界の敵となる道だった。第30回ファンタジア大賞“大賞”受賞の新王道マネーバトル!

最近何かと話題の仮想通貨。管理人は何も分かっていませんが、ちょっと声に出して読みたい言葉ですよね、ビットコイン。「やべえわービットコインやべえわーメッチャ儲かるわービットコインビットコインのおかげで人生上がったわー」と無駄に言いたいです。管理人は何も分かっていません。

18歳の高校生・失井敗斗はあるマネーゲームに身を投じていた。「魔石通貨」と呼ばれる悪魔のカネを使い、魔法のような現象を引き起こし生死を賭けて戦う。敗斗は悪魔のマネーゲームに勝利したことで、不思議な資産を手に入れることになる。メリアと名乗る美少女のカタチをした資産は可愛い以外何の役にも立たず売り払おうとするものの、次第に敗斗にとってなくてはならない存在になっていく……。

富士見ファンタジア文庫の小説大賞ってもう30回を数えるんですね。いやー、びっくり。そりゃあ僕も歳を取りますわ。しかしひとつの事象が30年も継続されるの。本当に歴史を感じる。

ということで感想を。「魔石通貨」というマネーの金額に応じて超常現象を引き越したり、異能力を持つ資産を振り回したり。何をするにも莫大なマネーが必要になり、パワーよりも知力メインのバトルが売りか。唐突感のあるスタートではあるものの、駆け抜けるように物語が展開されるためあっという間に読み終えた。「魔石通貨」を中心とした独自の設定にまつわる用語はそう難しいこともないので読みやすい反面、物語自体の重厚感が薄く感じたのは新人賞作品だから仕方がないのかな、とも思った。

もうひとつの売りであるヒロインであり、可愛い「資産」であるメリアちゃんだ。暗い印象のある主人公・敗斗をメロメロにする健気な可愛さ。(ちなみになぜ敗斗が心奪われるのか。ちゃんと理由があったりします)命がけで彼女を守りたい、その想いがこの物語を動かす原動力だ。やはりヒロインは可愛くないとね!(笑)