「魔弾の王と凍漣の雪姫」感想
〈あらすじ〉
弓は臆病者の武器。祖国でそういわれ続けてきた少年は、少女の言葉によって己の進むべき道を見いだし、守るべきものを得た。二年後、ブリューヌ王国はジスタートと同盟を組み、大国ムオジネルと開戦する。ティグルは病に伏せた父ウルスに代わり、初めての戦場へと向かった。戦争は順調に進んでいるかのように見えたが、奇襲を受けブリューヌ軍は戦線崩壊する。敗足するティグルの部隊。その窮地を救ったのはオルミッツ公国の戦姫、リュドミラだった。二年ぶりの再会を喜ぶ二人。しかし、その行く手には新たなる戦いが待ち受けていた。戦乱の世を舞台に、伝説の時代より続く闇の勢力との戦いが、今はじまる!!
最初に発売スケジュール欄で本作タイトルを見た時の既視感といったら。著者も一緒なのでこれはと思っていたのだけど、まあその通りでした。いやはやどういうことですか?
MF文庫J「魔弾の王と戦姫」と世界観が同じ、しかし別の物語。全く同じ名前のキャラクターが登場するが、MF文庫J版とは異なる物語のため関係は一切ない。つまりはMF文庫J版を読んでいなくても十分楽しめる……正直、前のキャラクターの設定=性格・属性を知らない分、真っさらの読者の方が楽しめるんじゃないだろうか、と思ったりもする。
卓偉稀な弓の才能を持ちながらも評価されない田舎貴族のティグルと、一国の王の次に影響を持ち、超常的な力を放つ武具を振るう「戦姫」のひとりミラ。幼馴染の二人が紡ぐファンタジー……であり、今回は「戦記」要素を薄めになっている感じかな。強大な力を持った魔物というある種分かりやすい敵が序盤から登場しているのがその象徴のような。敵対国家との戦が本格化するのは次からなのか、それともティグル+戦姫コンビの超常バトルがメインとなっていくのか。
MF文庫J版と比較して、ティグルの環境が恵まれているのもあってライトな読み口ではある。あとミラと想い合う幼馴染でもあるので、ラブラブっぷりがこー、なんと言いますか、もう少し抑え気味でも良いような気がしますわ。(笑)