飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「転生ごときで逃げられるとでも、兄さん?」感想

転生ごときで逃げられるとでも、兄さん? (MF文庫J)

〈あらすじ〉
高校卒業から5年間、妹に監禁されていた俺は、やっとの思いで逃げ出した矢先にトラックに轢かれ、異世界に転生。悪魔のごとき妹からようやく解放された…。新しい、自由な世界での名はジャック。貴族の一人息子として、愛に溢れた両親と優しいメイドのアネリに囲まれ、幸せに満ちた、新たな人生が始まった―はずだった。そう、一緒に死んだ妹も、この世界に転生しているのだ。名前も容姿も変えたあいつが、どこに潜んでいるかはわからない。だが、今の俺には神様にもらった、世界最強クラスの力がある。この能力であいつを退け、俺は今度こそ、俺の幸せと、周りの人たちを守ってみせる―!

これ本当に「継母の連れ子が元カノだった」と同じ作者さんなの?……これからは作者買いすることが決まってしまいました。これが書けるのは強いなあ。

監禁生活から逃げ出した瞬間、トラックに轢かれて死んだ。自分を監禁していた妹と一緒に……そして元いた世界とは違う異世界に転生した主人公・ジャックは、同じように転生しているだろう妹の存在を警戒しながら幸せな家庭で育っていく。しかし転生した妹は思いがけない人物としてジャックに牙を剥く。

ええ、見事なタイトル詐欺と言わざるおえない。正直なところ、ラブコメかと思ってました。これまで読んだ作品を考えたら。まるで違いじゃないですかぁ!?

愛する兄貴をガチ監禁して独占していた悪魔のような狂人・妹が、転生しても追いかけてくる。その妹の恐怖の伝え方が本気で怖くて、どう考えてもラスボス扱いなんですよ。実は可愛いところもあるとか、ラブコメ的要素は一切ねえ容赦の無さ。そんな恐怖の対象である妹に対抗するため、転生時に手にした才能を更に昇華させるべく努力する兄貴ことジャック。この作品では幼児〜7歳位の話となります。WEB小説っぽい(雑)

一体どこから妹は現れるのか? いや転生した姿は誰なのか? それが分からないから読者サイドとしてはとにかく疑心暗鬼、「あれ?もしかしてこいつ、妹じゃね?」とか思ったりしてしまう。

内容も異世界ファンタジーバトルがメインで魔法=精霊術を駆使した戦いは見所たっぷり。バトルの駆け引きも楽しい。随所に妹の陰謀がチラチラと「読者サイド」には見えて、マジで妹怖ええ。ジャックの幼なじみで健気なフィリとの関係がどうなるか、これも気になるわ。妹ちゃん、フィリに容赦なさそう……あるいはフィリが妹かもしれない恐怖も……怖い。