飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。13」感想

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (13) (ガガガ文庫)

〈あらすじ〉
暦は雪解けの季節を迎えるが、新しい希望の芽吹きはまだ遠く感じられる3月。それぞれの想いを言葉にし、行動しようとする雪乃、結衣、八幡。そして、それは今のままの関係でいることを終わらせることでもあって―。雪ノ下雪乃は、最後まで見届けて欲しいと願った。由比ヶ浜結衣は、このままずっと一緒にいられたらと祈った。美しい夕日に時が止まればと願っても、落日を迎えなければ新しい日はやってこない。前に進むために諦めること、終止符を打つこと。悩む間もなく、巻き戻すことも出来ず、エンドロールは流れ始める…。

表紙のガハマさん、滅茶苦茶可愛いですね。流石は我等のぽんかん神。特にガハマさんのワンコが可愛い。思い返せば全てのキッカケとなったのはこのワンコなんだよねえ……。

最終巻まであと一冊となりました。なんだかそんな気にならならないんだけど、作品の流れはどうしようもなく終わりに向かってて。八幡、雪乃、結衣の関係がいかなるものだったか。それがこれまでキチンと描かれてきたからこそ、胸を締め付けられるような、濃厚な青春を感じる。

共依存(と陽乃に指摘された三人の関係)から脱するため、家族の呪縛から解かれるため、自らの力だけで苦境を解決しようとする雪乃に対して、いつものように搦手で、助けを望まぬ雪乃を助けようとする八幡。そんな八幡はフォローしつつ、雪乃を心配し、そして三人の関係に悩む結衣。八幡はこの三人の関係を不覚にも「三角関係」と呼んでしまったのには驚いた。自分で言っちゃうんだ、それ。しかもあの八幡が。

みんな(読者含む)知ってることだけど、八幡と雪乃は人間関係においてとにかく面倒で真面目で……頭がとんでもなく回るものだから、面倒ごとを真面目に解決できてしまう。これに振り回されつつ、一緒にいてバランスの取れる結衣のコミュ力という何というか、それもそれでとてつもない才能だと思う。

そんな三人の関係を共依存と呼ぶのはどうなのか。結衣も言っていたことだけど。指摘自体がまちがっているのか。この三人の関係、このままバランスを取り続けていれば深く考える関係ではないかもしれないけど、それぞれの信念というか性格的にそれは考えられなくて、高校生活は終わるし、そうなれば嫌でも関係は変わり、それが分かっているからこそ雪乃も結衣も各事情のもと、変えたがっている。どうあっての変わってしまう関係なら、自分にとって正しいかは別として、良いと「思っている」方向に変えたい。雪乃は行動を起こして、結衣は悩み続けている。

その悩む結衣を見て、雪乃は青春劇から自ら降板しようとしている。結衣のために。でもそんな青春ラブコメはまちがっているんですよ、ゆきのん。結衣は雪乃の想いを全部知ってる。そして面倒で真面目でクソ不器用で器用な八幡はどんな答えを、葉山隼人に言わせれば嫌いな行動に出るのか。この青春の答えは次巻へ。