飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「オーク英雄物語 忖度列伝」感想

オーク英雄物語 忖度列伝 (ファンタジア文庫)

〈あらすじ〉
オークの英雄は『大切なもの(童貞)』を捨てる旅に出る――
十二の種族による大きな戦争で、多大なる戦果を挙げ『英雄』の称号を得たバッシュ。全オークから尊敬されるバッシュは旅に出る。種族の誇りと名誉のため、そして誰にも言えなかった秘密『童貞』を捨てるために……。

最初にこの作品の宣伝を見かけた時「主人公オークかあ……なんか微妙な感じだな」と人種差別(?)をしてしまった自分ですが、あらすじを読んで一転興味が湧いて予約。早速読んでみましたところ。

滅茶苦茶面白ええええええ!!!

サクサクと読み終えて早く続きが読みたくなりました。次巻発売日が冬、がっくし。こんなに発売日が待ち遠しい作品はそうそう出会えないので感動したレベル。私は「なろう小説」WEBは読んだことないので無知で申し訳ないのだけど、作者さんは有名な方だったんですね。そうと知らずに読んで面白かったので他シリーズにも興味湧きました。

さて感想です。
オークといったら姫騎士レイプ、という印象がある種族ですが。この世界でもオークはそんな存在です。主人公のバッシュは12の種族が争った大戦で活躍してオークの英雄となった凄腕の剣士。戦争終結後、地位も名誉もあるバッシュはただ一つ、手に入らなかったモノを探す旅に出ます。

バッシュが求めるもの、それは自分の子供を産んでくれる女性……妻を探すこと。ちなみにバッシュくんは戦争の際も女性を犯すことがなかった童貞で、英雄と尊敬される自分が実は童貞だとバレるのを恐れての「脱童貞」の旅だったのです。

こう書くとびっくりするほどカッコ悪いです。しかし紳士なバッシュの振る舞いはまさに英雄のそれで憧れるほどカッコイイ。その描き方が実に丁寧でこの1巻をかけてバッシュの人となり(オークとなり?)が分かり、彼に好感を抱く読者も多いと思う。まさに男の中の男(童貞)。

そんな英雄が何かを求めて旅をしているのだから、まあ周囲の人たちは崇高な目的に違いないと忖度してくてます。その忖度具合というか、ズレが笑える。今回はオーク嫌いの人間の美少女騎士にアタックしますが、その結末も良かったり。良いという点で、戦友のフェアリー・セスとの掛け合いが面白い。この会話もまたちょっと常識からズレてて楽しい。和む。

最後にこれに触れておかないといけない気がしたので。イラストの朝凪さんとこの作品がマッチしすぎてヤバい(語彙力)こんなにイラストと内容が合っている作品もそうそうないのでは。しかし大剣持ちの剣士と妖精のコンビ……ウッ……頭が割れそうだ……ッ!