飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「のうりん」感想

のうりん (GA文庫)

のうりん (GA文庫)

「おい新入り」
「なに?」
「教えてやろう! 無精卵とは――」
「ゴムをつけたときの卵だッ!」

まず言っておかなければならないことがあります。
この表紙は詐欺です。美少女表紙イラストから想像されるキャッキャウフフのラブコメ展開はありません。
でも大丈夫です。買って後悔することはありません。安心して騙されてください!!

白鳥士郎さんの前作『蒼海ガールズ!』では男の娘+美少女海兵が活躍する海戦モノでしたが、今回は農業高校を舞台にし青春コメディとまたしても設定が斜め上。
田舎の農業高校で土臭い学園生活を送る主人公・耕作は、とある人気アイドルに熱を上げていたが、そのアイドルが突然引退をしてしまい絶望の淵に。落ち込む耕作のクラスにやってきた転校生は、なんと引退したはずの人気アイドルだった、という展開から始まるお話。怒濤のラブコメ展開が予想されそうなものだが、そこは農業高校(偏見)、そして変態の耕作と類は友を呼ぶ仲間たちのせいで笑いの絶えないコメディに仕上がっています。
耕作を始め、巨乳幼なじみっ娘の農、親友で頭のおかしい眼鏡美少年の継、動物大好きお嬢様の良田さん、アラフォー淫乱女教師のベッキー(はどうでもいいや)といったやたら濃い人たちが、かつての人気アイドルにして転校生である林檎に『農業とは何か?』を少しずつ教え体験されていく。
が、農業について教えていく中で何をやってもネタに走りたがり、一筋縄ではいかないのがこの『のうりん』という作品である。例えば耕作が田植えをするのに適した格好(濡れてもいい格好)をしてこいと言うと、農がブルマになったり継がビキニを着たり林檎が旧スク水を着用してきたり果てはベッキーは既に濡れていたり(何処が濡れているかは教えません!)とやりたい放題。農業をダシに下ネタやめて下さい!…ごめんなさい、もっとやれ!
しかし途中のパンツの流れだけはマジキチの匂いがします…ええ、勿論良い意味ですよ。

おバカな展開に終始するかと思いきや、合間合間に農業に絡めた動物の殺生の話など思わず考えさせられてしまう場面も。けれどもそのままシリアス路線を突っ切らずにまたおバカな展開に持って行ってくれるのも良い。
人気アイドルの林檎が『何故アイドルを辞めたのか?』の一端は分かったが、『何故農業高校に転校してきたのか?』『何故耕作に興味を寄せるのか?』といった何故は尽きない。耕作が林檎のファンだったときに野菜を贈ったのが何らかのフラグに見えるが。
さて早く続きよ出てくれ!