飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「ドラゴンライズ」感想

ドラゴンライズ (ガガガ文庫)

ドラゴンライズ (ガガガ文庫)

人間に、恩を感じた。
人間の、生きざまに惹かれた。
人間の、心意気に惚れた。
だから、人間とともに生きることにした。
どこにも不自然なところはない。

ダークファンタジーの『されど罪人は竜と踊る』は例外として、ガガガ文庫から『ドラゴンライズ』のような剣と魔法のファンタジーが生まれるとは思ってませんでした。
まあ勝手なイメージですけどね。とにかく剣と魔法のファンタジーが好きな自分にとっては有り難く嬉しい限りの一作。

人と竜とが争いを繰り広げる世界。凄腕の剣士ノラと魔導師アイの美人姉妹、そして半人前(おまけ)の双剣士フレイクを加えた三人のギルド『グライズ』は竜に襲われている者達を助ける。『グライズ』が助けたのは王宮警備隊であり、王宮の命令でとある少女を護衛していた。竜に襲われ任務遂行が困難になった王宮警備隊に代わり、謎を秘めた少女カーチスを王宮まで送り届けることになる。というお話。

種々様々な能力を持ち、人語を使って個性もある竜たちが本作の魅力。人間に対して害意があり、明確な敵として描かれているのが分かりやすい。
人に仇成す竜に因縁のあるノラとアイのグライド姉妹が、日常ではフレイクをからかいちょっとしたラブコメもある。過去にアイに命を助けられ恩義を感じているものの、恋愛イベントはノラの方が多いのはどういうことか(笑)
しかし戦闘面でほとんど役に立たないフレイクの正体は、グライド姉妹の両親を死に追いやった高位竜の伏線から考えて期待を裏切らないものだったなあ。
何処までも分かりやすいお話だ(良い意味です)

今回はフレイクの正体と何故カーチスを竜たちが追うのかを描き、次巻以降風呂敷を広げていくのかと思いきや後半急ぎ足で伏線を回収しかかってた。それでも劫火竜の倒すには至らなかったので続きは出る。もっと過去の出来事や劫火竜の登場はゆっくりでも良かったと思うんだけど。
とはいっても概ね満足の一冊でした。
王宮に封印されている竜王様を復活させようとする劫火竜を始めとする竜勢力から、物語のキーを握るカーチスを『グライズ』がどう守り抜くか期待が高まる。