読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「パーフェクトフレンド」感想

パーフェクトフレンド (メディアワークス文庫 の 1-5)

パーフェクトフレンド (メディアワークス文庫 の 1-5)

「魔法で友達を作ることはできない。友達がほしければ、手を合わせて祈るしかない。友達と逢会う運命を信じるしかない。友達との出逢いは、奇跡だ」
黒い魔法使いは、優しく微笑んだ。

「だから友達は素晴らしいんだ」

初めて野崎まどさんの作品を読んだ。面白かった。

無邪気で脳天気なややや。引っ込み思案の柊子。そして大人びたクラス委員の理桜の友達三人は、担任の先生の頼みで不登校になっている同級生のさなかの元を訪れる。しかし三人を迎えたさなかは小学校どころか、大学を既に卒業した天才少女にして『数学者』であった。さなかに劣等感を抱いた理桜は、小学校で学ぶことはないと語る彼女に「学校は勉強だけでなく友達を作る場でもある」と言ってしまう。友達の居ないさなかに、自分が唯一優位になれることと思い放った言葉であったが、意外にもさなかは『友達作り』に興味を持ってしまい小学校に登校し始める。というお話。

『数学者』の天才少女であるさなかの奇異な行動を軸に、四人の少女が日常を送る。けれどもその日常の表現の仕方が単調ではないため飽きることはなかった。四人の会話…特に理桜とさなかの掛け合いが面白く、思わず吹き出してしまう。その理桜とさなかの繰り返させる掛け合いを見ていると、二人の関係が深まっていくのを感じる。
クラスメートを観察し続け『友達』という関係を、作り方を、システムで説明できると理桜に語り『友達作り』の論理は完成したと登校を辞めるさなか。それを受けての理桜の心理が友達への理解であり、結局『友達に会えない寂しさ』から再び登校してきたさなかに「あんた、バカだから」という嘆息混じりの言葉には友達への想いが込められていて胸が熱くなった。

友達の喪失により、さなかが人として成長する姿を描く後半は本当に良かった。
単なるシステム、あるいは論理では理解できない『感情』がさなかを突き動かし、最後の奇跡を生み出したのだと思う。その奇跡に対して様々な仮説が立てられたが、もうそれは魔法でも論理でも何でもいい。

『友達』が居る。ただそれだけで良いじゃないか。