飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「オトメ3原則!」感想

オトメ3原則! (オトメ3原則!シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

オトメ3原則! (オトメ3原則!シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

〈あらすじ〉
今より少し未来。著名なロボット工学者を両親に持つ大河原本気は高校生にして一人暮らしをしている。
それは離婚寸前の両親と過保護過干渉な姉から自由であるためだが、もうひとつ幼なじみで天涯孤独な隣人、久遠遙の世話をする約束を守っての事だった。
ところが、あるトラブルをきっかけに父親の作った超高価な最新型人型ロボットと同居することになってしまう。
まるで人間のようなロボット、ラブの存在は、二人の関係に変化をもたらすが、ラブには大きな秘密が隠されていて……
人間の優しさを描く日常系ハートフルSFラブコメ、ここに開幕!

松智洋さんの新作ラブコメということで、実績があるだけに何の不安もなく読み出せたし内容の方もテーマを据えているので読みやすかった。
ロボットが人々の生活を支える存在となってきた近い未来が舞台。ロボット工学者を両親に持つ主人公・大河原本気は『ロボロボ部』というその名の通り、ロボットを作る部活の助っ人をしながら幼馴染の面倒を見る忙しい毎日を送っている。その幼馴染である久遠遥は、学校ではクールな優等生を演じているが、本気の前ではデレデレ甘えては「充電!」と本気に抱きつく素の姿を見せる。幼少期に両親を事故で亡くし、大河原家に引き取られた遥は、本気と兄妹のように一緒に生活し、今は別々で暮らしてはいるものの、甘える遥の世話を焼いている。
そんな幼馴染二人の生活を変える存在が…本気の元にやってくる。それは世間ズレした本気の父親が造った一体の美少女ロボット。ラブと呼ばれるようになるロボットは、まるで人間のような反応を示して本気を驚かせるが、高性能ロボットと言う割に何の役にも立たない…何も出来ないラブに呆れ始める。一般的なロボットのようにプログラムされた行動をするのではなく、人と同じように学んで覚えていくラブはロボットというよりもまさに人間である。それに気付いた本気は彼女を育てることを決た。しかし両親の死とロボットが関係していたことからロボットが嫌いになった遥は、ラブの登場によって笑顔が消えてしまう。それでもラブの人間らしい一生懸命さを感じて、彼女を受け入れるようになる…のだが、ラブの不用意な発言が再び溝を開けてしまう。
本気がロボットを必要にするほどの負担を強いたのは自分かもしれない。黒い感情に心が締め付けられる遙は、いっそロボットになって感情を無くしてしまいたいと願い始める。が、その考えは本気を『想い』、遙と同じように苦しむラブの姿を見て打ち消すことに。遙とラブ。人間とロボット。その違いはあれど、大好きな人を想う気持ちは一緒だった。そしてその大好きな人…本気は、大切なヒトたちのために熱くなれる男であることを魅せてくれた。ラブを『家族』として迎え入れたことで、それまで二人の『家族』だった本気と遙に変化が生じるのだろうか…ロボロボ部の騒がしい面々も加えて盛り上がって欲しい。
あと勇希姉ちゃんはブラコン早く治せ。