飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

飼い犬にかまれ続けて
勝手気ままにライトノベルの感想を書きます

「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。6」感想

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。6 (ガガガ文庫)

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。6 (ガガガ文庫)

〈あらすじ〉
文化祭。面倒な仕事をスルーする方法は……呼ばれても返事をしない、面倒くさそうな気持ちを顔に出す!?
ぼっちのスキルをフル活用して文化祭の準備から逃げる気満々の八幡。
しかし、HRをサボっている間に、文化祭の実行委員にさせられてしまう。
新学期が始まってからの八幡は、どこか調子がおかしい。
クラスでも、部活でも……。雪乃への疑問は消えないまま、そしてそれを問わないまま……前に進まず、後戻りも出来ない二人、雪ノ下雪乃と比企谷八幡。
決して近づかない不変の距離感に変化は訪れるのか。
好評シリーズ第6弾。

2013年4月からTBS、BS-TBSにてアニメ放送開始予定。ドキドキしながら指折り数える日が始まりました。
今回の帯コメントは橘公司さん。アニメ放送を控える作家同士だから、今度『デート・ア・ライブ』の新刊が出た際にお返しコメントがあると面白いな、と。妄想ですが。

自分にとって高校の文化祭とはどういったイベントだったか。
それを思い返すと顔を顰めるしかない。正直「めんどくさい」イベントだった。
一生懸命準備をしたところで評価される訳ではない。そもそも気が進まないのだから、評価される訳もない。面倒な役割は他人に押し付けて、さっさと家に帰りたかった。でもみんなが真面目に作業をしていると、教室を抜け出せない空気が出来上がっていて、結局帰れない。意志が弱いから。
文化祭当日もそうだ。中途半端な気持ちのまま、中途半端に手伝って、中途半端に空いた自由時間を上手く消費できず、ただベンチに凭れて過ごした。

では比企谷八幡はどうだったか?
文化祭というイベントに対する想いは同じ。しかし雪ノ下雪乃、由比ヶ浜結衣、平塚静、あるいはそれ以外の「誰か・何か」の影響を受けて向かう先はまるで違う。
そして媚びない・挫けない八幡の『最低』な性格が混じり合い、読者にとって最高のイベントが完成する。

ぎこちない関係。
その関係にこれといった変化もなく、文化祭実行委員としての仕事を始める八幡と雪乃。
人を頼ることを知らない・出来ない雪乃は「自分らしさ」を何処かに置き去りにして、奉仕部への依頼にも関わらず、文化祭実行委員長の補佐を受けてしまう。
孤独ゆえ、誰よりも空気を読むことに長ける八幡は、雪乃のブレに直ぐさま気が付く。けれども空気が読めるせいで、自分の出番ではないと踏み出そうとはしなかった。
だから関係は進まない。距離は縮まらない。

八幡は知る。八幡の視点を介した読者も知る。雪乃の危うさを。
陽乃の登場により、その危うさは一層増した。このお姉さんは、冷静な雪乃を刺激するのが上手い。その真意は、八幡が想像するものなのかどうか。まだ掴めない。
次第に実行委員側の仕事をする人間が減っていき、その負荷は雪乃にのし掛かる。それでも彼女にはその全てを処理してしまう能力がある。

比企谷八幡はそれを見て行動する。空気を読んで、空気を壊す。誰にも理解されない八幡の言動は、周囲を敵にして団結心を生み出すことに成功する。
その対価として八幡は孤立して、終わる。それに絶えられる心を八幡は持っているから。これまでならそうだっただろう。でもそれは間違っている。
今は雪乃がいる。似たもの同士ではないが、理解はできる人が。

八幡の言動は人との繋がりの中で生きるには、最低最悪なものだ。それが分かっていて諦めている八幡はどうしようもない人間なのかもしれない。
だけどその生き様を「カッコイイ」と感じるのは八幡の視点を通して、しっかりとこの物語を読めているからだ。
もう独りではない。雪乃がいる。結衣もいる。支えは確かにある。決して寄りかかっている訳でない関係がある。
物語の始まりは問題だらけで間違いだらけだったのが、気持ちが落ち着くほどにスッキリとしていた。
しかしこれからも問題も間違いも生まれるだろう。そのたびに、八幡にしか出来ない解決方法でぶっ壊してやればいい。
八幡、お前はほんと最低で最高な主人公だよ!