飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「強くないままニューゲーム Stage1 -怪獣物語-」感想

強くないままニューゲーム Stage1 -怪獣物語- (電撃文庫)

〈あらすじ〉
昼休み前の平和な教室を、突然巨大怪獣が襲った。俺は、踏みぶされて死んだ。
――直後。視界に謎のコンティニュー選択の画面が現れた。
「Yes」の表示を選ぶ。
すると、昼休み前の、『死ぬ直前』の教室に戻った。つまり、生き返った。
そして、俺と敷島さんの二人だけが気づく。この世界が『ゲーム』だということ。
再びあの巨大怪獣が襲ってくるということに。俺たちは、強くないままニューゲームを繰り返す。

入間さん筆早いなあ。デビューしてからそんなに経ってないのに、著作一覧が長い長い。入間さんを代表する作品をこれまで嗜んでこなかったから、新作が出る度に手を出しているけど…未だに好きなのかどうなのかハッキリしないな!(笑)

世界観が良く分からない。しかしゲームは進行していく。
主人公・藤を繰り返して襲う『死』
謎の怪獣に踏み潰されたり、蹴散らされたり…何度も死にながら、記憶だけはそのまま、元いた場所から再スタート。
ここはゲームの中らしい…という漠然とした認識を抱きながら、藤はもう一人のプレイヤー(?)である敷島と共に制限時間に追われながら、ゲームクリアを目指して奮闘する。

何度も何度も呆気なく死んでいくせいか、あるいはキャラクターたちの性格のせいか。奇妙なほど緊張感のない展開。人間の順応能力の高さを知ってはいたが、まさか死ぬことに慣れ出すとは。殺す時は痛くしないでね♪
またキャラクターが極端に少ないため、基本的には藤の視点での語りが続くことで余計に淡々とした不思議な世界観の表現になるんだろうな、とも思う。

傍目には良好な協力関係を結んでいるとは思えないが、何故か関係が上手く言っている藤と敷島のコンビは、このゲームがまだ序盤のチュートリアルにすぎないことを知って肩を落とす。これだけ死にに死んで、まだクリアできない状況で、それだけの感情で済む二人の精神力は天晴れなものだと感じる。鈍感ともいう。『死』直接結びつくゲームでありながら、クリア条件が結構なお間抜け具合で脱力するしかないが、しかし迫り来る制限時間に追い立てられながら、命を投げ出す勢いで果敢にアタックを重ねる。これが死ぬことに慣れた人の生き様よ!あれ?なんかおかしい表現だ。

まだチュートリアルをクリアしただけ。分岐ルートもあるんかい。この先どんな展開になることやら…。