飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「俺と彼女のラブコメが全力で黒歴史 」感想

俺と彼女のラブコメが全力で黒歴史 (HJ文庫)

〈あらすじ〉
学校再編のため、不幸にも男子校に通うハメになった高校生・黒須龍騎は、憧れの青春ラブコメライフをものにするため出会いゲットに全力投球中。
ある日、偽のメールに騙された彼の前に完全無欠の美少女が現れ、龍騎にデートを申し込むのだが――。
はたして龍騎は恋愛チャンス0%の暗黒時代から脱出できるのか?
第6回HJ文庫大賞・奨励賞受賞作!

いいぜ!共学なら女の子と仲良くなれるって言うのなら!まずはそのふざげた幻想をぶち壊す!
マジレスすると、共学だろうと女の子と仲良く出来ない奴はどうやっても出来ない。環境のせいではないのだ!
しにたい。

本作は『魔王なオレと不死姫の指輪』とのHJ大賞W受賞作品のようで。俺オレだらけで混乱しそうだが、重要なのはタイトルじゃなくて中身だから。

主人公・龍騎は、レベルの高い共学高校に入学するため頑張ってきたというのに…いざ入学してみると、そこは素晴らしいほどの男子高校でした。学園側の都合で、突然男子高校になってしまったことに嘆きながら、当初の目的…女の子と仲良くするため、彼女を作るため…悪友の陽平、美少女にしか見えない美少年の日向と共に、的外れな上にヘタレなナンパ(?)をして、手痛い目に遭う。
悪夢のような出来事に見舞われ、心に致命的な傷を負うほどのショックを受けた龍騎の前には現れた、ひとりの美少女。彼女の名前は東雲ササラ。お嬢様のササラが、龍騎に提案してきたこと…それは「合コンをしよう」という驚くべき内容だった。

モテない男子高校生の気持ちが良く分かり過ぎて辛い。更にモテないのにモテようとして格好付けて大失敗に至るまでの過程が心を抉って辛い。
女の子に騙され、そして振られるのではなく、己の中にある全てを文字通り吐き出して人によっては「再起不能なんじゃないの…」と思うほどの敗北っぷりに、思わず目を背けてしまう。が、捨てる神あれば、拾う神あり…まあだいぶ乱暴な感じで拾いあげる女神様ですけど。

龍騎に対して暴言を投げつけまくるササラに、なんだかんだ言いながら会話を紡いでいく二人の関係は傍目に成立しているように思える。そんな中でササラから提示された「合コン案」…モテない男子として乗るしかない、このビックウェーブに!
だが基本的にヘタレな龍騎と陽平…特に陽平の動揺は酷いな。俺だったらこんな奴と合コン行きたくない。そもそも合コンに誘われないから関係なかった。あと日向は天使。

龍騎たち男子高メンバー、ササラとそして和服美少女・月夜との合コンは楽しく行われ…ることはなく、まあ痛々しい感じで。あと日向は天使。陽平おまえ帰れよ。
合コンをやりたかったササラはといえば、その本質を、後々曝け出すことになる。男子が苦手な彼女は、龍騎の前でだけは明るく過ごすことが出来ていた。
遠ざかろうとするササラに対して、格好悪くとも足掻いて足掻いて近付いて行こうとする男気に脱帽…仕掛けたが、ないわー、脱糞はないわー(笑)

しかしほぼ男子高校生のアホな日常+合コンだけで最後まで読ませ切るのは、冷静になって考えてみると凄いな。