飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「神曲奏界ポリフォニカ ファイナライジング・クリムゾン」感想

神曲奏界ポリフォニカ ファイナライジング・クリムゾン (GA文庫)

〈あらすじ〉
ディエスと融合してしまったフォロンを想い懊悩するコーティカルテ。
一方〈エンプティ・セット〉は、人と精霊の関係を終わらせるための、最後の一手を打つ――!!
「これは精霊を自由意思のない道具にしちゃう代物なのよ。もし精霊に反感を抱く連中が知ったら……」
頻発する精霊による暴力事件の対応に追われるユフィンリーたちは、
やがて人々が持つ精霊を操る道具〈タブレット〉から、最大の敵エンプティ・セットの真の目的を知る。
一方――。
「タタラ・フォロン君が死に損なっているのならば、貴女の手で終わらせるべきだとは思いませんか?」
フォロンを失ったコーティカルテにレイトスは残酷な決断を迫り……。
「……やはり他に方法は無い、のか」
懊悩の末、彼女が選んだ選択は――!?
クリムゾンシリーズ、ここに完結!

かつて『ポリフォニカ文庫』とさえ呼ばれていたこともあって、シェアワールドの中心の物語でもある赤ポリ完結は、GA文庫の歴史にひとつの区切りを付けるものになったのではないか……あまり話題になっていないので、そんなこともないのかな…(しょんぼり)

GA文庫創刊時に書店員をしていて、しかもライトノベル担当を任せて貰えた時期でもあるので、『完結』の文字を見た時は感慨深いものあった。しかし実際読み始めて読み終わるまで実にあっさりとした時を過ごしてしまったのは「赤ポリ以外のシリーズをしっかり集めているのに大部分を読まずに積んだせいで、細かい仕掛けに全く気付けずに終わってしまった」ことが大きな原因ではないかと思う。申し訳なかったと感じる一方で、シェアワールドの難しさを創作者に伝えた作品でもあると思う。

「始まりがあれば終わりもある」
人と精霊、そしてその両者を結ぶ神曲と絆。フォロンとコーティカルテの物語はここで終わりになる。人と精霊の関係を型に嵌めて考えしまうが、結局のところ、本人たちがそれで「幸せ!」と想っているのならば、それでいいんじゃないか。ある意味、当然の答えに着地した。他人がとやかくいう問題ではない。フォロンとコーティカルテが…あるいは、彼と彼女と同じ境遇にいる人と精霊が、それで満足しているのなら、それで良いんだ。その結果どうなるのかは…やってみなければ分からない。結果なんてそんなもんさ。

とはいっても、もっとはっきりと結末を提示してくれると期待していただけに残念な気持ちもある。フォロンとコーティカルテ、あるいはペルセルテの想いの交錯を、「これが答えだ!」と八年間積み上げてきたモノを読者に思いっきり叩きつけて欲しかったが。まあいいか。
さてGA文庫としては終わりを迎えたけど、キネティックノベルスとしてはどうなのかな…う〜ん、駄目だ駄目だと思っていてもディスプレイ越しにテキスト読むのは苦手だあ(笑)