飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「ヴァンキッシュ・オーバーロード 01 覇王覚醒」感想

ヴァンキッシュ・オーバーロード 01 覇王覚醒 (MF文庫J)

〈あらすじ〉
才能が因子という形で具現化して全てを決める時代――その因子が目覚めずに悩むアーガスシティの少年・桐生将人は、ある日の放課後、二人の女殺し屋の襲撃を受ける。危機の中ついに目覚めた将人の才能――それは『王の因子』として世界中から危険視される『覇王因子』だった。覚醒した《侵略者の鎖》で殺し屋の少女アイリとリゼットを奴隷化し、なんとか窮地を切り抜けた将人。だが、世界の均衡を破る覇王=将人の出現により、他の王たちが次々と刺客を送り込んでくると告げられ……将人は非服従な少女たちと共に、世界の覇権をめぐる「王の戦い」に無理やり引きずりこまれてしまうのだった。宿命を鎖でつなぐ覇道のサバイバルアクション、堂々の開演――!

富士見ファンタジア文庫で出版している作品がアニメ化決定している柳実冬貴さんの新作。非常にライトノベルらしい作品というか、異能ありバトルあり可愛い女の子ありの面白い物語です。

とある人物によって世界中に撒かれた「因子」…人に同化し、才能を芽吹かせるその因子によって、世界は大きく変わった。才能のあるものと、そうでないものの絶対的な格差。18歳までに才能が目覚めなければ一生落ちこぼれとして惨めな生活を余儀無くされる世界の中で、未だ因子が覚醒していない少年・桐生将人は、突然二人の美少女から命を狙われる。訳も分からず、二人の殺し屋に命を奪われそうになったその時、将人の中で眠っていた因子が目を覚ます。「覇王因子」…世界に五人しか存在しない「王の因子」の覚醒を受けた将人は、美少女殺し屋たちだけではなく、世界から、そして他の王たちから付け狙われることになる。

因子と呼ばれる謎の存在によって才能が…といっても、異能といった方が正しい…目覚める世界。当然のことながら才能=異能が強い存在ほど社会的地位は高く、才能が目覚めなければどんなに努力しても絶対的な格差の前屈服しなくてはならない。そんな世界に生き、家族のためにも才能に目覚めようと努力する将人が手にしたのは王の力。相手を奴隷にする覇王の力に目覚めた将人は、訳も分からぬまま力を行使して、二人の美少女殺し屋を支配下に置いてしまうことから物語は本格的にスタートする。

美少女殺し屋…アイリとリゼット。最初こそ将人に反発していた二人であるが、王の力を振るうには純粋すぎる将人の行動に、次第に心惹かれていく。甘い考えの多い将人ではあるものの、アイリとリゼット、そして家族のことを想う姿に他の王の人物描写にはない「人の心」が見られる。相手を支配するだけではない覇王因子は、将人は、これからどう強大な力を持つ王たちと渡り合っていくのか楽しみだ。