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飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「灰と幻想のグリムガル level.4 導き導かれし者たち」感想

灰と幻想のグリムガル level.4 導き導かれし者たち (オーバーラップ文庫)

〈あらすじ〉
「驚かすなって、モグゾー」「ごめん、ごめん」
モグゾーは、あはは、と笑って頭を掻いた。でも、ものすごい血だ。血まみれで、表情もよくわからない。だけどまあ、なんとか平気そうだ。
大きな戦いを乗り越えたハルヒロたちだが、助けられなかった仲間もいて、喜んでばかりもいられなかった。そんな中、予想外の活躍をしたことで、他のチームから引き抜きの誘いを受けるメンバーも。リーダーとして悩むハルヒロは、改めて自分たちがどうしたいのかという想いと向き合ってゆく。
灰の中から生まれた冒険譚は、いま新たなステージを迎える!

ああ、分かっていたはずなのに。そんなに生優しい話じゃないってことを。あらすじを読んだ時点で気づけば良かった。そうだね、僕たちはハルヒロたちと同じように、モグゾーと一緒にいる世界を望んでいたのかもしれない。

例えば友達がRPGをやっていて。美しいグラフィックに乗って派手な技を決め続けるキャラクターたちに魅せられて、「良し!俺もあのゲームを買おう!」とプレイする。でも初級冒険者のキャラクターたちはこれといった技も魔法も出せず、爽快感なんてまるでない。それでも投げ出さずにコツコツとプレイ時間を増やし、キャラクターたちは次第に強くなり、プレイヤーは高揚感を味わい始める…そんな感覚を覚えながら、この4巻を読み切った。

経験。
何事にも変えられないモノ。いかに才覚があろうとも、最初から最強の人間は存在しない。経験を積んで人はようやく強くなれる…年長者から誰もが聞かされることになる小言。

ハルヒロたちは経験を通じて新たな関係を結んでいく。最初こそ喪失という経験によって解けてしまいそうになっていた関係であったが、その結び付きから逃げたくないと判断して、再び冒険に出ることになったのも仲間たちとの経験があったから。メリイと縁のある新しい仲間クザクを迎えたことで「思春期ここにあり!」といった嫉妬をするハルヒロの心もまた経験によってどんな様相を見せるのか、いや、しかしメリイとクザクの関係はある意味不意打ちであったが、これまでの十文字ワールドを見ていれば、ありうる展開ではあった。経験があっても、まるで活かせないことも、ある。

経験によって成長するハルヒロたち。心も身体も関係も。強くなって。生優しくない世界に抗って抗って。最後には最高の笑顔を見せて頂きたい。