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飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「ただ、それだけでよかったんです」感想

ただ、それだけでよかったんです (電撃文庫)

〈あらすじ〉
ある中学校で一人の男子生徒Kが自殺した。『菅原拓は悪魔です。誰も彼の言葉を信じてはいけない』という遺書を残して――。
自殺の背景には"悪魔のような中学生"菅原拓による、Kを含めた4人の生徒への壮絶なイジメがあったという。だが、Kは人気者の天才少年で、菅原拓はスクールカースト最下層の地味な生徒。そして、イジメの目撃者が誰一人としていなかったこと。彼らの接触の証拠も一切なかったことなど、多くの謎が残された。なぜ、天才少年Kは自殺しなければならなかったのか。
「革命は進む。どうか嘲笑して見てほしい。情けなくてちっぽけな僕の革命の物語を――」
悪魔と呼ばれた少年・菅原拓がその物語を語り始めるとき、そこには誰も予想できなかった、驚愕の真実が浮かび上がる――。
圧倒的な衝撃、逃れられない感動。読む人全てを震わせ4,580作品の頂点に輝いた衝撃作。

第22回電撃小説大賞大賞作品。
本来ならば大賞作品から読んでいくところだけど。金賞作品がどうにも気になって、読んでみたら面白くて「あれ?これは読む順番間違えたかな?」と思ったけど大賞作品も面白かった。

「菅原拓は悪魔です」そう書き残してひとりの中学生が自殺した。菅原拓。たったひとりで4人の同級生を支配し、その中のひとりを自殺に追い込んだ悪魔……しかしイジメの証拠は一切なく菅原拓は今も中学校に通い続けている。自殺した少年・昌也の姉は弟の無念を晴らすため、菅原拓のことを調べ始める。だが調べるほどに謎が深まっていく。学校の人気者で天才とまで言われた弟は、陰気で存在感のない菅原拓になぜイジメられたのか? そこには昌也が、そして菅原拓が通う中学校に存在する「人間力テスト」……人のコミュニケーション能力を図るテストは一体この事件にどのように関係しているのか? ラストに待ち受ける「真実」に驚愕する。

ダークです。真っ黒ですよ、この物語は。金賞作品の『俺を好きなのはおまえだけかよ』とは真逆のベクトルを持つお話で、冒頭から強烈な負のエネルギーを感じて掴んで離そうとしない。ページ数がそう多くないのもあるけど、一気に読んで、ラストに語られる菅原拓の全力の想いにやられる。読了後、色々と考えさせられる、そんなラストです。

登場する人物の印象がコロコロと変わり、上書きされていく。本当の「この人」はどういう人間なのか。それが知りたくて知りたくて堪らなくなる。先が気になる作りになっていて、更に読ませる力もあって、物語への没入感はここ最近味わったことないほど深かった。菅原拓、おまえは一体なにを思ってこんなことを仕出かしたのか? いや、あるいはやり遂げようとしているのか。

何かを知りたいという欲求に突き動かされるまま読んで、読み終えて、自分が一体何を思うのか含めてこの作品を堪能して欲しい。