飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

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「彼と人喰いの日常」感想

彼と人喰いの日常 (GA文庫)

彼と人喰いの日常 (GA文庫)

「わしとの契約の代償として」
巨狼が告げる。
「月に一度、人を一人喰わせてもらおう」

クラスメートの不良たちに殺されかかっていた十夜を助けたのは、封印されていた狼の妖である黒衣。美少女の姿をとる黒衣は強力な力を持つ『人喰い狼』であり、十夜を殺そうとした不良たちを喰らった後、契約の代償として「月に一度、十夜が指定する人間を喰らう」ことを要求してくる。誰しも殺したい人間の一人は二人はいる、と甘く黒い囁きを耳にし「誰を黒衣に食べさせるか?」を思い悩みながら、幼なじみの立夏と日常を送る。というお話。

人喰い狼と暮らす日常。
言葉だけを見ると恐ろしく、実際黒衣が人を喰らう様を目の辺りにした十夜にとっては恐怖と隣り合わせの日常のスタート…かと思いきや、黒衣の見た目が美少女であるのに加えて、十夜をからかったり全裸で動き回ったりお風呂のシャンプーが目に染みて暴れ回ったりと、黒い面とのギャップが激しくて日常パートは読んでいて穏やかな気持ちになる。けれども契約の代償行為がなくなる訳ではなく、人を殺す指示を出さなくてはならない十夜に更にプレッシャーをかける黒衣のS属性っぷりが堪らない。

父親から家庭内暴力を受けている立夏を救うため、契約の代償とは別に彼女の父親を黒衣に喰らわせるところでは、十夜の『殺意』とその殺意をぶつけることが出来るだけの力を手に入れた黒い感情が描かれていて、十夜の『人としての日常』が本当の意味で終わりを告げたのが良く分かる場面だった。立夏の父親を襲うシーンで正直唾を飲み込んだよ。
思わせぶりな描写があった黒衣を追う国家機関の退魔師が呆気なく追い払われたのは物足りないものの、十夜と黒衣の契約による繋がりを見せるのには重要な場面だったかな。いや、それでも弱すぎだろと。

人としての日常を終えた十夜の決断は切ない…と思ったのも一瞬のこと。黒衣が嫁ですか、そうですか。う、羨ましくなんかないんだから!(はい、嘘です)