飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「ログ・ホライズン4 ゲームの終わり(下)」感想

ログ・ホライズン4 ゲームの終わり(下)

ログ・ホライズン4 ゲームの終わり(下)

「僕がなりたいのは……冒険者だ。困っている人を助けられれば、細かいことを気にしない。……僕は、栄誉がほしいわけじゃない。……ひとりのっ……冒険者だ」

前回の新人達を中心にした『小規模戦闘』から一転、今回は『大規模戦闘』へ。
帯の謳い文句である『モンスター20000匹 VS 冒険者1200人』通りの壮大な物語展開で手に汗握りました。

コブリンの大群に対して領主たち『大地人』が彼等の価値観で『冒険者』を従わせようとするも、そもそも『冒険者』であるプレイヤーは地位や金、栄誉が欲しくて『エルダーテイル』という疑似世界に身を投じた訳ではない。それは変質した『エンダーテイル』の世界になっても同じこと。そのことをクラスティと時間を過ごすことで我知らず共感していたレイネシアの領主達にとって狂気の行動が、道を切り開くことになる。毅然としていたものの、内心で震え上がっていたレイネシアの演説を聴いて立ち上がる冒険者たち…お前等、こういう熱いの本当に好きだな!

チョウシの町を――『大地人』をコブリンの群れから護るため、合宿地に留まり戦う直継たち数名のベテランと、トウヤ&ミノリを始めとする訓練生たち。驚異的な力でゴブリンを斃す直継たちであるも絶対的にベテランの人数が足りず危機的状況かと思いきや、前回の物語で絆を深めた新人パーティー六人の『強さ』を侮ってはいけない。六人それぞれの巨大な可能性をベテラン達に示しながら、ゴブリン達を撃退する姿は前回の鬱憤を晴らしているかのようで読んでいて爽快だった。しかし最後にはルディが致命的な攻撃を受けてしまい危機に瀕する。『冒険者』ならば本来ない『死』が、ルディにはある。前回ラストで判明したルディが実は『大地人』であるという伏線がここで効いてくる。

この絶望的な状況を打開するのは、やはりシロエさんでしたか。
あらゆることを見据え、最適な選択を取ることに長けたシロエらしい閃き。もともとなかった物を創造できるようになった変質後の『エルダーテイル』なら新しい『魔法の開発』もできる。
シロエの魔法で『冒険者』となり理通り復活したルディを迎える五十鈴の姿に、胸に込み上げるものが。そして『記録の地平線』にまた新たな仲間が!
ゴブリン達を退け、領主達と和解し、平穏を取り戻す『エルダーテイル』…が、一連のレイネシアの暴挙(あるいは英雄的行動)がシロエが画策したこと、となったのは普段の行いの賜物ですね(笑)
アキバの街の大使となり、親の目から離れたレイネシアがどれくらい『ものぐさ』が進行するか見物。

今回の上下巻は『冒険者とは何か? 大地人とは何か?』を上手く語る素晴らしい構成のお話でした。
見せ場のなかったアカツキさんが、最後の最後にシロエと踊る可愛らしい姿が読めて良かった。