飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「犬とハサミは使いよう」感想

犬とハサミは使いよう (ファミ通文庫)

犬とハサミは使いよう (ファミ通文庫)


ドラマCD発売おめでとうございます!
と、言う訳で読みました。発売…デビューからまだ一年しか経ってないのかあ。ほわ〜。
とにかく読みやすい。そして面白かった!

なによりも本が好きな読書バカの主人公・春海和人。本を中心に生きる春海は読書をするために行き付けの喫茶店にいたところ、猟銃を持った強盗が押し入る事件に巻き込まれる。が、そんな事件も意に介さず無視し続けるひとりの女性に苛立った強盗から彼女を助けるため飛び掛かったものの、猟銃で撃たれ死んでしまう。死に逝く春海…だったが、まだ読書がしたい一心でなんと蘇りに成功する。けれども復活した春海の身体は犬…ダックスフンド。勿論言葉は喋れない。文字の読めない生活による『飢え』で再び死の淵に立たされる春海を救ったのは、夏野霧姫。夏野は春海が強盗から助けた女性であり、何故か春海の言葉が通じる。そんな夏野に飼われることになった春海。ハサミを振り回しては春海を脅す性格に難ありの彼女が、実は大ファンである作家・秋山忍である驚愕の事実を受け入れながらひとりと一匹の共同生活が幕を上げる。

まずこの主人公は「俺か!」と思うほどに本に執着して本のために生きている。畜生道に堕ちても「本が読めればそれでいい」と思っている節のある春海。アンタは本物の本読みだ…ッ!
本ばかり読んでいるため夏野の色っぽいところを見ても「文字列になって出直して来いよ」という始末。名台詞のあまり心に刻んだけど、それは人としてどうかと思う。あ、もう人じゃなかった。
ひとりと一匹。夏野と春海。出逢った時から常に掛け合い漫才が開始され、春海の返しは確かにプロの所行にしか思えない。ハサミを振り回し何処か危ういクールさを見せる彼女が、しかし最後に春海に人としての弱さを見せたのは胸にずきゅんときました。ミステリー要素を交えているけど、それは終盤物語を盛り上げるためのスパイス程度で、僕としては「人の心を変える本がある」という件が一番込み上げるものがあった。心を動かす一冊が何処かに必ずあるんですよ(しみじみした感じで語る)

肉球で押さえながら本を読むダックスフンドの絵は想像するだけでニヤニヤしてしまうな…(笑)