飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者4」感想

アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者4 (講談社ラノベ文庫)

アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者4 (講談社ラノベ文庫)

〈あらすじ〉
富士の樹海に開いた異世界への通路、その先は『神聖エルダント帝国』に、ドラゴンが空を飛ぶファンタジー世界に通じていた!
その異世界を日本の国益に活かそうと極秘のうちに政府によって創設されたのがオタク文化専門異世界交易会社<アミュテック>。それなのに、その秘密がバレちゃった。
いや、もうほとんどバレかけてしまったので、さあ大変!
で、<アミュテック>総支配人・真正オタクの加納慎一が考えついたオタク的解決法、異世界での超絶コスプレ大会が始る事に。
そして、美埜里さんの意外な過去が明らかに?

ついに美埜里さん表紙ですか!と思ったら魔法少女ロリ皇帝陛下でした。嬉しいような悲しいような。
内容は美埜里さんの活躍が拝めるお話になっている。

前回の「異世界とんでもサッカー大会」の動画がネットに流出。お祭り騒ぎの事態を鎮火するため、慎一が考えついたのは「映画撮影」だった。真実をフィクションで上塗りしてしまえばいい。全てを虚構にしようと、エルダントの人々たちの協力を得て撮影を開始。特にペトラルカはヒロインに抜擢されたこともあり大はりきり…なのだが、映画撮影に時間を盗られ、公務に支障が出始める。映画撮影続行を諦めさせようとする慎一であったが、熱中するペトラルカは止めようとしない。皇帝としての道を外れ、虚構に逃げようとするペトラルカを止めたのは、美埜里。彼女の言葉は過去の生い立ちに基づいていて、ペトラルカだけでなく、現実から逃げている全ての人の心に深く突き刺さったと思う。

人は成長する生き物だ。美埜里の言葉を聞いた慎一は、一時は諦めた映画撮影を最後までやり通す決意を固めて再びペトラルカと相対する。確かに映画撮影を止めればペトラルカの公務は捗る。しかしそれではペトラルカの心に大きなしこりが残るのではないか。諦めることによって諦め癖がついてしまうのでは。
どんなに時間がかかっても絶対に映画を完成させる。今まで中途半端な想いのまま撮影に挑んでいた人たちの心に活が入った。人の心に熱を入れるのが上手い慎一に惚れてしまう。それ以上に、ドラゴンに回し蹴りをかます美埜里に僕はドワーフの少年同様惚れましたが。

一ヶ月後。完成した映画を身内だけではなく、庶民にも公開することに。しかしそこでペトラルカは思いもしない事態に遭遇する。映画の中で活躍する自分の姿が恥ずかしくて仕方なくなった。熱中しているときは何も感じないが、時間を置いて客観的に見直すと恥ずかしくなる感情。あれだけ夢中になっていた映画撮影のお熱がいい具合に冷めたようで、ペトラルカはひとつ成長し立派な皇帝になってくれるでしょう(笑)