飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「リバーシブル!」感想

新装版 リバーシブル!(1) (わぁい!コミックス)

新装版 リバーシブル!(1) (わぁい!コミックス)

〈あらすじ〉
生徒の半数が交代で『女装』する規則を持つ全寮制男子校、聖ストケシア学園。
そこへ転校させられた少年・海棠愁は、学園で女装コーディネーターを担当する女装少年・八重崎ツバキと出会う。
慣れない事に戸惑う愁だったが、ツバキの手ほどきを受け、少しずつ女装を覚えていく。
そんな日々の中、愁は次第にツバキのことを……!?

どうも、先日の飲み会で「男の娘モノの良作ラノベがほとんど無くて悲しい」と嘆いた者です。
と、いうことで初わぁいコミックス。新装版となって随分手に取りやすくなった。文庫ばかりで筋力の衰えを否めない僕には嬉しいサイズ。

蓋を開けてみれば『男の娘モノ』ではなく『女装モノ』かな、と。まあこの二つの境界を僕もイマイチ良く分かってないけど。
舞台は様々な事情を背負った生徒が通う特殊な男子校。生徒が代わる代わる女装しなくてはいけない決まりがある何ともクレイジーな学校で、当然男子校なのだから女の子は登場しません。男子校に女の子が紛れ込んでいるお約束の設定もありません。出てくるのは男ばかり!
最初はそんな規則に抵抗を見せていた主人公の愁であったが、どんな可愛い女の子よりも可愛く見えるツバキに出会い、女装のイロハを習う内次第に『女装』することを楽しみ始める。裏表のない性格をしている素直な愁が女装に填り込んで行く姿にとても危険なモノを感じる…ま、まあ本人が良ければ良いんですけどね!

愁が惹かれるのは女装だけではなく、支えてくれるツバキの美しさにも見惚れる。しかし綺麗な薔薇には刺があるとはこのことで、純な心を持つ愁とは違い黒い感情を出したり引っ込めたりするツバキに入れ込むと痛い目に合いそうだな。その黒い面を含めて、愁は惹かれているのでもうどうにもならないが。
愁とツバキ。二人の関係を見守り、時には口も出す友人の葵。もしかして彼が一番この物語の主人公に相応しいのではないかと思う。どんどん綺麗になる愁に心を揺さぶられ、精神面が何処か不安なツバキを思い遣る葵の行動を見ていると込み上げてくるものが。一見クールに見える葵を二人で揺り動かせば、もっと面白いものが見られそうだ。