飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「ディバースワールズ・クライシス2 」感想

ディバースワールズ・クライシス2 (MF文庫J)

〈あらすじ〉
クロワへの想いを秘めたアルが幾度目とも知れない救世と転移の末にたどりついたのは、クロワにその面影を見た実の妹エピカのいる"元の世界"だった。
しかし、いまだ呪いが解けることのないアルが"この世界に戻れた"ということは――。
一見穏やかに見えた故郷の平穏はやはり、その裏では世界に死の恐怖を蔓延させる支配者の影に怯える欺瞞に満ちたものだった……。
勝てば再びこの世界から弾き飛ばされることを承知の上で、アルは彼に呪いをかけた支配者との絶望的な戦いを決意するのだが――!?
壮大なバトル叙事詩第二弾!

発売日がアナウンスされてから延期が続いたので心配してました。出てくれて良かったと一安心。

あのラストからどう続けていくのかな?
前回の視点がクロワだったことあって、「追い掛ける側」から描くのかと思っていたら「追い掛けられる側」のアルの視点での物語なのか。まあこの時点でアルはクロワに「追い掛けられている」など梅雨ほども思っていなかったけど(笑)

ついに故郷へ舞い戻ってきたアル。
家族や友人、仲間たちに温かく迎えられたアルであったが、自分がここに戻ってきたということは、故郷の危機が未だ続いていることを示していた。クロワのことを想いながら、アルは『支配者』を打つべく再び世界を救う旅に出る。

数多の世界を救ってきた、ということもあってアルはいとも簡単に危機の駆逐をやってのけているように思ってしまうが、肉体的な負担、世界を救わなければいけない使命感による重圧、また愛しい人たちの別れによる悲しみ。何かを失いながら…あるいは残しながら…世界を渡り歩いていると、心が大きく磨り減っても何らおかしくない。

その結果としての存在が『支配者』ヘルツなのだろう。ヘルツにも愛しい人はいた。しかし歪んでしまったのもその愛ゆえ。
クロワへの愛を抱き締めて、ヘルツの言葉を跳ね除けたアルは、確かにクロワが惚れるに値する強い男だ。惚れた男の危機に、何もせずにいられる訳がない、と、美味しい場面で颯爽と現れるクロワの格好良さは流石勇者と言わざるおえない。

ヘルツを退け、再会したアルとクロワ。後半は驚くほどラブコメしてて、頬が緩むねえ。エピカの兄愛が危うい感じ、それが終盤の展開に結びついている。ベタ甘のアルとクロワのカップル好きですわ。
転移の力に関しては未だ謎の部分が多いが、今回示された人物たちが伏線になるのかな。愛し合う二人が離れ離れにならず、世界を救う旅を終わらて欲しい。