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飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「パパのいうことを聞きなさい! 13」感想

パパのいうことを聞きなさい! 13 通常版 (集英社スーパーダッシュ文庫)

〈あらすじ〉
ひなが少し風邪気味である以外は今までにないくらい平和な日々が続いていた。仁村の不在を除いては。
あまりに顔を出さない仁村に業を煮やした祐太は、懐かしい六畳間まで足を運ぶ。そこで祐太が出会ったのはお風呂上がりの美少女だった。
大人気ドタバタアットホームラブコメ、愛と友情の第13幕!

美羽と仁村。何処か似たところのあるこの二人の絡みが大好物の僕にとって、通常版の表紙は心を強く打ちます。
そして今回、仁村をメインに据えて「家族の絆・家族の在り方」を問う話題へとシフトして行く。

思えば物語開始時点から祐太を陰日向から支え続けている仁村の背景について、これまでほとんど語られてこなかった。余裕の表情を崩さず、誰にでも優しく接することの出来る男。完璧な人間である…と思い込んでいたのは祐太たちであり、読者であり、実際仁村の家族を覗き見て見ると、決してそんなことはない…何処の家族でも起こりうる問題を抱えて苦悩するひとりの「お兄ちゃん」だった。
そんな仁村の姿に安堵するのが美羽で、以前は「子どもらしさ」を感じなかった完璧な彼女がサーシャさんの登場以降はすっかり子供になっていたのと重なる。

仁村の妹が持ち込んだ問題は、仁村家だけではなく、祐太たちとその家族を支える人たちの中にも駆け巡り、それぞれの視点からの想いを口にすることになる。特に祐太との関係を意識せずにはいられない空にとって、また多感な年頃だけあって、思い悩むのは仕方のないこと。
しかし必要なのは部外者たちの出した結論ではなく、当事者間で「話し合わなくてはいけない」問題だ。感情のまま突き進むのは良くない…そう親友に助言出来るだけの経験が、祐太にはある。
思い合っておる人たちがしっかり話し合う。そうして悪い結論など出るはずがないのだから。

仁村家の問題が落ち着いて、日本を去るサーシャさんが大好きな家族に残した宿題。彼女の力がどれほど助けになったか、分からない四人ではない。だからこそ、これまで四人で頑張ってきたことが否定されるのではないだろうか?祐太の心にそういった寂しさが生まれても不思議ではない。茶化すのではなく、真摯に問いかけてきたサーシャの「お願い」に、家族たちはどう答えるのか。答えを出さなくてはいけない期限は刻々と迫ってくる。