飼い犬にかまれ続けて

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「最弱無敗の神装機竜《バハムート》 」感想

最弱無敗の神装機竜《バハムート》 (GA文庫)

〈あらすじ〉
五年前、革命によって滅ぼされた帝国の王子・ルクスは、誤って乱入してしまった女子寮の浴場で、新王国の姫・リーズシャルテと出会う。
「……いつまでわたしの裸を見ている気だ、この痴れ者があぁぁっ!」
遺跡から発掘された、古代兵器・装甲機竜《ドラグライド》。かつて、最強の機竜使い《ドラグナイト》と呼ばれたルクスは、一切の攻撃をしない機竜使いとして『無敗の最弱』と、今は呼ばれていた。リーズシャルテに挑まれた決闘の末、ルクスは何故か、機竜使い育成のための女学園に入学することに……!?
王立士官学園の貴族子女たちに囲まれた、没落王子の物語が始まる。
王道と覇道が交錯する、“最強”の学園ファンタジーバトル、開幕!

明月千里さんの作品が読みやすい…だと…!?
いや、この表現だと誤解を生みそうではありますが。
前二作品が癖のある設定の元、作り込まれていたこともあって、好き嫌いがハッキリ分かれる作家だと個人的に思っていたことあり、非常に分かりやすい設定と世界観の『最弱無敗の神装機竜』は受け入れることが出来る読者が多いと感じた。王道とはまさにこの作品のことで、キャラクターの背景も描き切る骨太のファンタジー作品だった。正直なところ、以前の作品との差にかなり驚かされた。

圧政を敷き差別を蔓延させた帝国が革命によって滅ぼされてから五年。
帝国の元王子のルクスは、王族の生き残りであることから罪人とされ、今は仮釈放の身。背負わされた多額の借金を返済するため「国民の依頼を何でも聞く」ことを命じられ『雑用王子』と呼ばれていた。
運命のその日も困っていた人を助けようとしていたルクスは、不可抗力によって新王国の王女・リーズシャルテの裸を目撃してしまう。竜を模した機械鎧であり、強力な力を行使することができる『神装機竜』の使い手…機竜使いでもあるリーズシャルテは、同じ機竜使いのルクスに挑戦状を叩きつけ、模擬戦をすることになる。『無敗の最弱』と揶揄されるほど攻撃をしないルクスと、優秀なリーズシャルテとの勝負は戦う前から決しているように思えたが、人類の敵である怪物『幻神獣』の乱入もあり、思わぬ方向に転がっていく。

うっかり女子風呂に突入してしまうお約束で掴みはオーケーですよ!
遺跡から発掘された古代兵器にして、一部の才能ある人間のみが使いこなすことが出来る『神装機竜』を身に纏い、騎士の如く戦う姿が春日歩さんの素晴らしいイラストとの相乗効果もあり非常に映える。序盤のドタバタ劇から『神装機竜』の扱いについてとバトル、恐るべき敵『幻神獣』の脅威、そしてルクスの置かれる状況が流れるように展開され、読者を物語の中に引き込んでくれる。

日々雑用をこなし、元王子でありながら人々に受け入れられるようになったルクスであるが、機竜使いとしての評価はとても低い…が、この低評価から持ち上げていく布石は上手かった。読者の期待通りの痛快展開が心地良い。人好きのするルクスのお人好しな性格もあって、最初こそ嫌われていたリーズシャルテからは早々に好意をもたれ、幼馴染娘フィルフィとの再会や謎多き留学生のクルルシファーに興味を抱かれたりと、急激に女の子たちとの距離が近づいていく。誰よりも先に目を付けていたリーズシャルテとしては、面白い状況ではなく気高く嫉妬する姿もまた良いものです。

滅ぼされた国の元王子と滅ぼした側の王女…正反対の身分でありながら、その根本にあるのは「何も出来なかった」ことへの後悔と、そして「何者にもなれていない」悔しさ。だからこそ何とかしようとするリーズシャルテに触発され、ルクスは封印していた力を解放する。覚悟と決意をこめて…!
物語はまだまだ始まったばかり。隠されている秘密・想いも多い中、ルクスとリーズシャルテはどう「未来」に向かって戦いを繰り広げいくのか? この先の展開に期待高まる。