飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「ヒャクヤッコの百夜行」感想

ヒャクヤッコの百夜行 (このライトノベルがすごい! 文庫)

〈あらすじ〉
高い霊能力を持つ家系に生まれた高嶺裕也は、父親で超ダメ人間の金剛の尻拭いのために、とある学園の怪奇事件を解決する仕事を請け負うことに。転校生として学園に潜入した裕也は、こっくりさんの怪異と融合した狐耳の少女・百留谷津子(ウザさ120%)と出会う。裕也に一方的な恋心を抱く谷津子(マジ激ウザ)に手を焼きながら、裕也は怪異退治に学園にやってきたことを明かさぬままに、その原因を探っていく。しかし、ある日、谷津子が裕也の本当の目的を知ったところから事態は思わぬ方向に転がり始め……。ウザカワ(イイ)度120%の狐耳ヒロインと退魔の能力を持つ少年が巻き起こす、痛快学園妖怪ラブコメ&バトル!

ウザくてもいいじゃない。だってかわいいんだもの。
そんな詩を読みたくなる季節…うん、季節全く関係ないわ。はい、『このライトノベルがすごい!大賞』作品刊行の時期になりました。このラノ文庫はほぼ自分のレーベルでデビューした作家で固めているため、新人は大きな意味を持つだけに期待のかかる作品は多い。

霊能力者の家計に生まれ、自身も高い霊能力を持つ高校生の高嶺裕也。怠け者ゆえに仕事をしない父親に怪異を引き起こす事件を押し付けられては四苦八苦する日々が続いていた。そして今度、裕也に押し付けられた仕事は、とある高校の怪奇事件の解決だった。半ば強引に転校生として高校に潜入した裕也だったが、こっくりさんの怪異と融合した狐耳の明るい少女・谷津子と出会い、彼女が学校にある108の怪異の封印を解こうとしていることを知る。

怪異事件調査と言いながらも、これといった緊張感はカ欠片もなくゆるゆるほわほわとした「日常」のように「非日常」が巻き起こるこの作品。誰もが抵抗なくお手軽に読める、というのはひとつの魅力だと思う。

自堕落な父親に舞い込む仕事の一切を押し付けられる苦労人の裕也。なんだかんだ言いながらも事件解決に赴くのだから、父親の手の上で転がされている感が…。
そんな彼を気に入りべったりくっ付くヒロインは狐耳の美少女。底抜けに明るい谷津子は期待通りのアホの子で、裕也から彼女を退治する気持ちをゴッソリ奪うと一緒に108の怪異を巡ることになる。その最中で出会う怪異たちも谷津子同様、かなーりアホなキャラクターばかりで脱力してしまう。怪異とは一体なんなのか……(笑)

終始コメディ展開ということはなく、最後には霊能力バトルも待ち構えている。とにかくアホにアホを重ねる谷津子の可愛さに癒されてみては如何だろうか。