飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「黒き英雄の一撃無双(ワンターンキル! )1」感想

黒き英雄の一撃無双(ワンターンキル! )1.受難の女騎士 (HJ文庫)

〈あらすじ〉
対魔族用の魔法使いを育成する学園で序列一位を誇る才媛・久遠院雪羽は、圧倒的強さの『竜』を前に絶体絶命の危機に陥っていた。しかし颯爽と現れた見知らぬ男・麻上悠理が竜をたったの一撃で倒してしまう。悠理が学園の転入生と知った雪羽は彼を追うが、そこで見たのは「D級」の烙印を押され、魔法の追試験で悪戦苦闘する悠理の姿だった。

何だこれは…『俺TUEEE』なんて目じゃねえぜ!
『ラスボスよりも絶望的に強い主人公』という作者の言葉どおり、『俺TUEEE』と呼ぶのも憚るほど圧倒的強さを持つ主人公の独壇場を楽しんで欲しい作品。

魔族の二大勢力…『魔女』と『吸血鬼』の戦いは『魔女』側の勝利に終わり、ついに魔族が人間界を侵略しようとその牙を剥く。魔族に対抗する『魔法使い』を育成する学園の序列1位・久遠院雪羽は任務中、突如出現した竜に殺されようとしていた。その危機を颯爽と救ったのは、同じ学園の制服を着た少年。しかも少年は上位の魔族である竜を一撃で倒してみせたのだ。少年が転校生の麻神悠理であると突き止めた雪羽だったが、悠理は圧倒的な力に対して学園最底辺のランクの生徒であることを知る。

何処か調子の良い性格ではあるが、「女性は死んでも殴らない」という信条を胸に生きる悠理。一体どうやって身につけたのか…いや、それこそがこの物語の鍵になる設定ではあるのだが…まさにラスボスすらワンパンで倒せそうな力を持つ悠理は、いっそ清々しいくらい、強者や鼻をへし折っていく。この爽快感が一番の醍醐味であろう。

そうしてプライドをズタボロにされながらも悠理への興味を失わない雪羽。しかし学園最底辺に甘んじている悠理の力に対する無頓着さに怒りを覚える雪羽との対立に、圧倒的な力を駆使する悠理はどう彼女のハートにワンパンいれるかも見所のひとつ。各所に散りばめられた伏線、悠理の非常に「らしい」弱点など、気分良く読めた一方で気になる謎は幾つもある。これは最後まで気持ち良く読み続けていたい作品だなあ。