飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「奈落英雄のリベリオン」感想

奈落英雄のリベリオン (ファミ通文庫)

〈あらすじ〉
最弱の複製英装を武器に圧倒的な力を見せつけた伊集院伯也。歴代2位の成績で英雄の子孫の集う千英学園に編入した彼は皆の期待の星――が、なぜか英雄不適格とされ劣等生を集めた分校に落とされてしまった! だがそこで出会った有翼種の気弱な少女・くらみに惹かれ、共に本校への昇進試験に挑むことに。だが彼の前に立ち塞がったのは学園最強、雷神の子孫・九鳳院ジュリで……! 第15回えんため大賞優秀賞。最強の神話を紡ぐ新世のヒロイック・サーガ!

ファミ通文庫も電子書籍に移行しました。なので本棚や積本を漁っても本はありませんよ…と、記録の意味合いで書いてみます。はい、本題のえんため大賞作品に移りましょうか。

英雄。その子孫たちに宿る大いなる力。それを世の中のために役立てることはできないだろうか?伊集院伯也が編入したのは英雄の子孫たちが凌ぎを削る千英学園。欠陥品の最低武器を振るいながらも、第二位の成績で編入を果たした伯也であったが、理由も分からないまま、落ちこぼればかりの分校に放り込まれることになる。本校とはまるで違い、荒れ放題の分校の姿に愕然とする伯也。そんな分校の生徒たちの中で、伯也と同じ時期に編入してきた有翼種の少女・くらみに惹かれつつ、伯也は本校に戻るための昇格試験を受けようとする。

ゲームとかで「強い」武器で挑むと何処か味気なくエンディングに至ってしまう。ならば「弱い」武器で挑めば面白いし、みんなから注目されるのではないか。そんなアホな理由を現実に持ち込み、しかも強力な敵を圧倒してしまう最強っぷりを見せつけるのが本作の主人公である伯也。クールに思える話し方から想像しにくい残念な言葉を発しながらも、揺るぎない強さを見せつける伯也の戦い方には胸がスッとする。落ちこぼれの烙印を押されらモノが、次々上の人間を撃破していく様は気持ち良い。

この作品の魅力を物語展開の「速度」だとすると、欠点は反対にキャラクターの掘り下げは不足してしまっていることだろう。キャラクターたちが何故「そのようなことを考えるに至ったのか?」が曖昧のままなのに、キャラクターたちは勝手に納得して物語が進んでしまう。もっとゆっくりキャラクターを描いても良いのではないか、と思う。