飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「S.I.R.E.N.―次世代新生物統合研究特区―」感想

S.I.R.E.N.―次世代新生物統合研究特区― (富士見ファンタジア文庫)

〈あらすじ〉
生命工学の中心地――次世代新生物統合研究特区、通称S.I.R.E.N.に現れた少女・フィア。その身を狙われ居場所をなくした彼女を救うため、少年・ミソラは、異能の力『方程式』でふたつの世界を連結させる!

細音啓さんの文章好きなのに作品はどれも読むのが途中で止まっていて何だか申し訳なくなる今日この頃。シリーズものはうっかり読みはぐってしまうとそのまま積んじゃうこと多いですよねー(言い訳)

次世代生物工学の最先端研究エリア『S.I.R.E.N』。ドラゴンやフェアリーといった御伽噺に登場する空想上の生物が命を吹き込まれ、現実に存在する特区。次世代新生物『バイオテスク』と呼ばれる生物が引き起こすトラブルを鎮圧する仕事の助手をしているミソラは、暴走バイオテスク襲われていたひとりの少女を救い出す。少女…フィアは人間ではなく、希少な天使型のバイオテスクと分かり、放っておけなくなったミソラは彼女を自宅で保護することを決める。だがフィアの存在を巡り、ミソラの日常は大きく軋み始める。

最初こそ世界観を掴みにくかったが、暴走バイオテスクが引き起こす事件を解決しようとするミソラの奮闘を通して説明が成されるので大きな問題ではなかった。読者が飲み込んだ状況で改めて世界観の説明もある。

特殊な能力を持つ少年と、特別な事情を抱えた少女の出逢いから始まる物語。ありきたりなストーリーラインではあるけど、それだけにキャラクターの内面・外面の動きが重要になってくる。お節介のミソラが世界に一人ぼっちのフィアを想い、無謀にも思える戦いの渦の中に身を投じていく様が何ともお熱い。

物語中盤になると判明する「本当の世界観」、この物語の魅力が見えてくるのだけど、その設定が十分に発揮されるのはこれからかな。とりあえずシリーズ作品としては楽しめそうです。