飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「りゅうおうのおしごと! 8」感想

りゅうおうのおしごと! 8 (GA文庫)

〈あらすじ〉
「そうだ。京都へ行こう」
順位戦が終わり、プロ棋界は春休みに突入した。八一はあいを伴って京都を訪れるが、しかしそれはデートでも慰安旅行でもなかった。『山城桜花戦』――女流六大タイトルの一冠を巡る戦いを見守るため。挑戦者の月夜見坂燎と、タイトル保持者の供御飯万智。
「殺してでも奪い取る」
「……こなたはずっと、お燎の下なんどす」
親友同士の二人が激突する時――八一とあいは女流棋士の葛藤と切なさを知る。春の京都を舞台に、華よりもなお華やかな戦いが繰り広げられる秘手繚乱の第8巻!

絶賛アニメ放送中なのに、「現実」が「物語」を飛び越えていくことで有名になってしまった本作。これはある種の褒め言葉だよねー。そだねー

今回は感想戦でお馴染みのお姉さんお二人メイン回……いやいやそれで一冊持つのか? と疑問だったのだけど、中身を見たら既に公開されている短編を繋ぎながらお姉さま二人の対決を描いていく形式。

今回は本編ではなく、あとがきに全て持っていかれた巻だったと思う。いや、驚きました。まさか……そんなラノベみたいな展開になっていたとは……!(誤解を招く表現)

とにかく、この言葉ですね。

ご結婚おめでとうございます!

「タタの魔法使い」感想

タタの魔法使い (電撃文庫)

〈あらすじ〉
2015年7月22日12時20分。弘橋高校1年A組の教室に異世界の魔法使いを名乗る謎の女性、タタが突如出現した。後に童話になぞらえ「ハメルンの笛吹事件」と呼ばれるようになった公立高校消失事件の発端である。「私は、この学校にいる全ての人の願いを叶えることにしました」魔法使いの宣言により、中学校の卒業文集に書かれた全校生徒の「将来の夢」が全て実現。あらゆる願いが叶った世界―しかしそれは、やがて犠牲者200名超を出すことになるサバイバルの幕開けだった。第24回電撃小説大賞にて“大賞”を受賞した、迫真の異世界ドキュメント。

第24回電撃大賞「大賞」作品になります。そういえば前回の電撃大賞作品全部読んだのに諸事情(怠け)によって感想書いてないから、妙な違和感がある。「前回の最終選考に残った作品かな?」とか思ったけど、そうか、もう2月なのか、と。

タタと名乗る異世界の魔法使いが弘橋高校に突如出現し、学園にいる全ての人間の願いを叶えると宣言する。「中学の卒業文集」に書いた夢がとんでもないカタチで具現化……教師を含めた弘橋高校の人々は、気がつくと校舎ごと中世ファンタジーの異世界へ。右も左も分からない異世界に放り出された彼等は元の世界に帰還するため、魔法使いタタを探すことになるのだが……。

設定は大好物。実際中身も好みだったけど、これは賛否が分かれる作品だなあ、と読み終えて思った。
物語は主役のひとりである高校生の姉の視点で語られるドキュメントタッチの作品。事件は既に「終わっている」ところから事件の検証を含めて「始まる」のが面白いポイント。しかしとにかく登場人物が多く、状況の考察を交えながら進んでいくので読みにくさが目立った。数行読み飛ばしてしまうと重要な情報が抜けてしまうことがあったりするので油断できない。そういう意味では情報(設定)の詰まった濃密な作品ではある。

願いのカタチ。先生になりたいとか自衛隊員になりたいとかバスケの選手になりたいとか、あるいは抽象的なものだとモテたいとか、おかしな願いだとヒーローになりたりとか。夢の叶い方はその願いの奥に込められた想いごと具現化している点が面白い。例えば単純に「サラリーマンになりたい」と願ったとしても、その願いの中に「商談に長けた優秀なサラリーマン」になりたい想いがあって、その願いが叶う。中には魔法使いや魔法少女になっている人もいるけれど、その願いの奥底にあるものを描いているのも面白いところではあった。

濃密な設定におけるサバイバルドキュメント。なのでもう少し展開の起伏が激しいともっと楽しく読めたかなあ。しかし新人賞作品にこれ以上の展開を求めるのは酷かな、とも思いました。締めのある設定(?)には笑った。

ご報告

はい。既にツイッターランドでは報告済みですが、改めてブログでもご報告をば。

3月1日に第2子が生まれました。男の子です。上の子も男の子なので男兄弟になります。余談ですが、「おとこのこ」と入力すると「男の娘」が出てくるの何とかしたい。

自分は男兄弟ではないのでその関係がどういうものか……どうなるのか、イメージがつかないところがあります。あれですかね、拳と拳で語り合ったりするんですかね。あるいは兄が弟にアレコレ言って、キレた弟にぶっ飛ばされて怪我した挙句、数年後には謎の宇宙船で漂流しそこでもイザコザ起こす迷惑な兄弟になるんですかね。それなんて無限のリヴァイアス? ヴァイタル・ガーダー、リフトオフ!

ラノベで男兄弟というと、ファンタジー系で王位継承権争いをしている印象があるなあ。ラノベ主人公の男兄弟率を誰か検証して欲しいぞ。「BLACK BLOOD BROTHERS」みたいな主人公男兄弟設定(まあ本当はもっと複雑だが)は実は稀有なんじゃないか説。(水曜日のダウンダウンのBGM)

まあ余計な話をしてしまいましたが。最後にもっと余計なことを言うと、長男はまだラノベに興味はありません。(絵本)

「29とJK3 ~社畜のいやしはJK~」感想

29とJK3 ~社畜のいやしはJK~ (GA文庫)

〈あらすじ〉
「先輩の妹さんって、すごく可愛いんですね」29歳社畜、槍羽鋭二。後輩の渡良瀬が目撃した「妹」というのは交際中のJK・花恋のことだった!花恋を妹として、会社の草野球に呼ぶハメになる槍羽だが、そこに元カノや妹(真)もやってきて…!?そして正月。槍羽は帰省して同窓会に出席する。目的は、昔の親友と会うため。11年ぶりの再会となるはずが、元カノ・沙樹と花恋の出会いにより、それは奇妙な方向へ進む。語られる槍羽の少年時代。沙樹と、親友と、三人で駆け抜けた胸躍る冒険とほろ苦い挫折。この再会は、今の槍羽と花恋に何をもたらす?“禁断の”年の差ラブコメ第3弾!

どうも単巻モノの印象があるので刊行が伸びると奇妙な違和感が。いや、面白いので続いて欲しいのですが。

おっぱい大正義すぎる作品でしょ。イラストほぼおっぱいで占められてるまである。あと野球展開のあるラノベは売れる説もあるのである意味大正義。今回は次回の布石回だったかな。まあJKと付き合ってるのバレていくとこいかれたらタイーホだよね。

「29とJK2 ~大人はモテてもヒマがない~」感想

29とJK2 ~大人はモテてもヒマがない~ (GA文庫)

〈あらすじ〉
29歳社畜・槍羽鋭二は二つの仕事を抱えている。一つは八王子営業チームの運営。もう一つは社長の孫娘・花恋と社長命令で交際すること。どちらも問題アリアリ。新たに異動してきた上司は狡猾なブラック野郎。そして花恋は槍羽にデレまくり、純粋で一途な恋心を向けてくる。有能な槍羽を自分の派閥に抱き込もうとする上司をかわし、可愛いJKの求恋を叱り飛ばして日々を乗り切る槍羽だが、「顧客情報漏洩」という会社の一大事が降りかかる。そして普段はクールな部下・綾からはセクハラ被害を相談されて――!?

少し遡って2巻の感想を書いてみます。この2巻、分厚かったんだなあ。タイトルの割に中身は骨太な作りなので、いや、これタイトルで得してるのか損してるのか良く分からない。(笑)

前回に引き続きJKと付き合いながら(犯罪)、会社内部の闘争に巻き込まれていくスタイルの鋭二。それでも対応できて戦えてしまうのは鋭二が有能すぎるから。これはもう優秀な鋭二の有能っぷりを拝む物語に特化して良いと思う。

「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか13」感想

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか13 (GA文庫)

〈あらすじ〉
「【破滅の導き手】……【約束されし妖精】……エルフ? 【疾風】のこと?」
18階層の宿場街にもたらされる殺人の凶報。犯人は黒表の賞金首――【疾風】。耳を疑うベル達がリューの容疑を晴らすべく、彼女の行方を追い始める中、カサンドラは『最悪』の予知夢を見る。告げられし十七節の予言。予言の成就は大切な者達の『死』。絶望に打ちひしがれる悲劇の予言者は、破滅に抗う孤独の戦いを始める。そして真相を追う少年が、黒き復讐の炎に焼かれる妖精と邂逅を果たす時、かつてない【厄災】が産声を上げる! これは少年が歩み、女神が記す、 ──【眷族の物語<ファミリア・ミィス>】──

前回の終わりからのリューさん回です。正確にリューさんを中心とした探偵的なお話になっています。外伝でリューさんの背景を読んでいるとより楽しく読める印象。

比較的本の厚みが薄いので、「これは一冊でリューさんの話はおしまいかな?」と思っていたのだけど。敵が小物っぽいなあと侮っていたら終盤からとんでもねえ展開に。強敵からの強敵、追い討ちの強敵と絶望的な状況に落とし込んでくるこの感じ。ベルくんじゃなかったらとっくに死んでるだろ。結末だけをみるとリューさん完全にヒロインじゃないですか。

今回のボスのジャガノートのデザインは好きだなあ。しかし「ダンまち」はキャラクター紹介ガッツリ載せないともう分からないんですけど……。