飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「聖剣学院の魔剣使い4」感想

聖剣学院の魔剣使い4 (MF文庫J)

〈あらすじ〉
第〇三戦術都市での任務から帰還した第十八小隊。〈六英雄〉の聖女を滅ぼし、女神ロゼリアに託された〈魔剣〉の使命を思い出した最強魔王レオニスは、決意を新たに魔王軍の再編を進めていた。そんな中、第〇六戦術都市〈アレクサンドラ〉を迎え、〈聖剣学院〉では大規模な学園祭が催されることとなる。あわただしくコスプレ喫茶の準備に追われるレオニスたち、「レオ君も着るのよ、きっと可愛いと思うわ」「なんでだ!?」アルバイトにいそしむシャーリ、「魔王様、おいしいお菓子が焼けました!」。だが、祝祭に沸く学院都市に、一〇〇〇年の時を超え、永久凍土で発掘された〈魔王〉が運び込まれようとしていた――!

変わらずの読みやすさというか、物語への没入感の高さは素晴らしいねえ。巻を重ねるごとに楽しさ・面白さが増しているこの感じ。ショタ魔王さま、今回も大活躍(暗躍)でした。

表紙になっているシャーリ登板回。同じレオニスの臣下として寵愛を受けているリーセリアに嫉妬するシャーリ可愛い。お菓子教室に通い現世に適応しているシャーリもアレだけど、ブラッカスさんは咲耶に完全犬扱いされてても満足度高いの、それでいいんか。

シャーリ登板回(?)と言いつつも、レオニスを囲う、あるいは囲っているリーセリアを始めとするヒロインズもグイグイ前に出てくるので出番は控え目である。エルフィーネの姉ちゃんが発掘したのがまさかの八魔王の1柱という。良くよく話に出てくる竜の魔王さまは氷の檻に閉じ込められて封印されていたけれど、レオニスに反応して暴走、対決と。陰謀蠢いてる感じがして燃えますね。ラストのあの人の登場は物語が本格的に動いていく感じがして好き。

好きといえばレオニスの魔王バージョン。部下の前に現れて魔王らしく振る舞う姿と学園でリーセリアたちに揉みくちゃにされる姿とのギャップが好きなことに今回良く気づきました。(笑)

「転生王女と天才令嬢の魔法革命2」感想

転生王女と天才令嬢の魔法革命2 (ファンタジア文庫)

〈あらすじ〉
天才令嬢・ユフィリアとともに、王国を襲うドラゴンを討伐したアニスフィア。次なる脅威・ヴァンパイアの謎に迫っていく二人の前に、因縁の弟・アルガルドが立ちはだかる——王宮百合ファンタジー、激動の第二幕。

たまたま続きが最新2巻を読むことになったのだけど、この作品ここまで読み切らないと本当の楽しさを味わえない。あとがきにもある通り、2冊で前後編、ひとつの作品の構成になっている。

そもそもの発端であるアルガルド王子とユフィリアの婚約破棄騒動は何故起きたのか? 前回明らかになる前に終えたこの問題の解決編となっているこの2巻。アルガルドや騒動の中心にいた男爵令嬢・レイニの心情が明らかとなっていくのだが、当初想像していたよりも根深い闇を抱えた問題であり、アルガルドの内面に触れる者がいなかったせいで起きた事件であることが良く分かる。うん、国王が悪い。アニスは完全な当事者だけど、とばっちり感ある。ちょっとすれ違いで、王子王女だから起きてしまった悲劇なんだよなあ。

色んな人の心と身体が砕かれ兼ねない騒動ではあったけど、アニスと何よりユフィの活躍もあって最悪の事態(いやまあアニスにとっては十分最悪だが)は避けられた。何だかこのまま終わってもおかしくないような締め方だが、行く道が変わったアニスとユフィの今後こそが気になる訳ですよ。なので続きカモン!

「転生王女と天才令嬢の魔法革命」感想

転生王女と天才令嬢の魔法革命 (ファンタジア文庫)

〈あらすじ〉
幼い時に前世の記憶を取り戻した王女・アニスフィア。魔法が使えないため貴族からの評価は低いが、独自の魔法理論を作り、一人で研究を続けていた。彼女はある時、天才公爵令嬢・ユフィリアが次期王妃の座から外される場面に遭遇する。アニスフィアが彼女の名誉を回復するために選んだ方法は、一緒に住んで魔法の研究をすることで!?「ユフィ、私と一緒についてきてくれる?」「望んでくれるなら、どこまでもお供します。アニス様」キテレツ転生王女とクール天才令嬢との出会いが国を、世界を、二人の未来を変えていく。王宮百合ファンタジー開幕!

BOOK☆WALKER、始めました。
ちょっと前に書いた電子書籍に関する記事について、「KindleよりもBOOK☆WALKERでしょ!」というご指摘があったので真摯に受け止めてBOOK☆WALKERを使ってみました。その一発目の作品です。BOOK☆WALKERの使い勝手についてはTwitterにてどうぞー。

百合です。そう購入理由はあらすじの謳い文句に百合とあったから。なぜ百合作品を読むのか? そこに百合があるからです。(意味不明)

一国の王女として生まれたアニスフィアは幼いある日、前世の記憶が蘇り魔法に憧れていたことを思い出す。しかし魔力はあるものの魔法が使えないアニスは前世の記憶をもとに魔法と科学を融合させた「魔学」を研究し始める。破天荒で魔学のこととなるとどんな危険も厭わないアニス。変人の名を欲しいままにするアニスは、弟の婚約者=次期王妃とされる公爵令嬢・ユフィリアが当の王子から婚約破棄を一方的に言い渡され、断罪されているところに出会し、絶望する彼女を救い出す。アニスはユフィの名誉回復のため、魔法の天才であるユフィを魔学研究の助手として囲い実績を積ませようとする。

もうね、主目的が百合ではなく、「自分の好きなことに対してどこまでも真っ直ぐ真摯に突き進める王女さま」アニスの太陽のような魅力で満ちた作品。邪気がなく、言いたいことをズバスバ行ってドンドン行動を起こしていくアニスの好感度メチャメチャ高い。それに人のことも思いやれる王女さま。

王位継承権を放棄した変わり者の王女と、婚約破棄された失意の元次期王妃。正反対な性格、生き方をしていた二人の人生が交わったことから動き出すこの物語。ユフィでなくともアニスの自由な生き方には惹き込まれる。当のアニスはその「自由」を政治によって阻害されることを嫌がっているが、彼女の魅力を目にした人は表舞台に立って欲しいと願うだろうね。根暗王子の弟は、面目を潰され、さて敵として相対することになるのか。政治的に強大な敵が出てくると一層面白くなりそう。

「家族なら、いっしょに住んでも問題ないよね?」感想

家族なら、いっしょに住んでも問題ないよね? (GA文庫)

〈あらすじ〉
「そこ、部屋を裸とか下着で歩かないっ!先輩を誘惑しないでっ!」
天涯孤独となった高校生、黒川真は、なぜか4姉妹と住むことに――。 小説家の長女、「きみは生理的にOK」と、クールな高校生の次女、元気いっぱいで、真になついてくる小学生の四女、そして――。
「あ、あのっ!あ、あたし……、黒川先輩のことが……好きです」
「君にはふさわしくないよ。俺は」
中学の卒業式に告白をお断りした後輩が三女だった!? 真面目で堅物な後輩、姫芽は同居に対してツンツン。真の方も一緒に住むことに気まずさを感じる(ですよねー)。 誘惑の多い同居生活と過去の恋。甘く、もどかしい青春ラブコメ開幕!

本作を注文してから作者が高木幸一さんだと知りまして、いやー久しぶりに高木さんの作品読むなあと思っていたら新作そのものが5年振りという。そんなに期間が空きましたか。時が経つのはあっという間だし、毎月これだけラノベが発売していると買い手に名前を覚え続けて貰うのも大変だなあ、と。

僕、この手の「行先のなくなった主人公が女性ばかりの家にお世話になる」系のお話、好物なんですよね。購入のキッカケもあらすじ。本作は天涯孤独になった高校一年生・黒川真は遠縁に当たる四姉妹(美少女)のお宅に家事手伝いとして世話になる。しかしそのお家の三女は中学卒業時、真に告白し断った後輩・姫芽だったという、なんという気まずさ。

まあお約束のように最初は姉妹たちとギスギス距離もあったのだけど、真の誠実な人となりが分かるにつれ、本当の家族の一員として迎えられていくアットホーム青春劇。ただその「家族」の形が兄弟姉妹としてなのか、恋人からやがて夫になるような「家族」のことなのか。本当の家族になるなら後者がいいよね。先輩・後輩の関係にある姫芽に焦点が当たる中で、他のヒロインが遅れを取るというか噛ませ犬感が出てしまうけど、個人的にはクールな次女・波月が好みです。

物語なのであまり心配しても仕方がないのだけど、真のお給金が四姉妹の亡くなった両親の遺産から出ているの、結構な金額払ってるから財政事情が気になる。(汗)

「子育て中のラノベ読みが電子書籍を暫く使ってみた」

2020年に入り精神的にも余裕が出てきたのに加え、世の中がこんな感じになってしまったこともあり、未だかつてないほど家にいるようになった結果、ラノベの感想を定期的にあげることができるようになっています。良いのか悪いのか……。

んで今年になって「本から電子書籍」へ移行し、5ヵ月経った今ではすっかり電子書籍派に転向しましたよ、と。そもそも「なんで電子書籍を利用するようになったのか?」という理由などなどをTwitterの方ではつらつら書いていましたが、ここらでブログにまとめてみました。

ご覧の有様の本棚です。元々は「電子書籍なんてありえねー」と思っていた人間ですが、それが何故180度変わったかというと。

子育てです。
我が家には4歳と2歳の息子たちがいて、彼等の寝かしつけはほぼほぼ僕がやっているのだけど、まあ寝ない。本当に寝ない。寝室に連れて行って2時間位は寝ずにゴロゴロ転がっていて、僕を監視している感じ。深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いている感じ。(全然意味が違う)

寝室から抜け出そうものなら追いかけてきて遊び始めます。寝室から脱出した彼等を放っておくと日を跨いでも寝ずに遊び続けます。なんなのこの子たち、永久機関積んでるの?

こうなってくると寝かしつけで一緒にいる時間がもったいない。しかし本を読もうにも照明をほぼ落としているので読めない……その悩みを解決してくれたのか電子書籍ですよ。真っ暗な部屋でもバックライトのおかげで読める。あんまりバックライトを明るくしすぎると、悪童たちに襲い掛かられるので、なるべく明るさは小さくします。こうしてラノベを読む時間を確保、一冊読み終わるくらいには子供が寝ているという。

こう書いていくとかなり限定的な利点な気もしますが。それ以外にもいくつかメリットがあるのでこちらも書いていこうかと。ちなみに私が使っているのはKindleです。ラノベ読み的にはBOOK☆WALKERが一番良いのだろうけど、まあこの辺りは自身の端末環境と要相談ですかね。

電子書籍のメリット】

1.暗闇でも読める
→これは上記の通り。僕にとっては最上級の動機です。

2.荷物にならない
→現実に物がないので空間を圧迫しない。おうちの床に優しい。重力から解放されたラノベ読みがニュータイプになるまである。あとラノベ読みあるあるだと思うのだけど、遠出をする際、「途中で読むラノベがなくなったらどうしよう」という不安から余計に本をカバンに詰め込んで、結局読みきらない、という悩みから解放されます。

3.買い溜め(積読)しておく必要がない
→上の2番項に理由が似ているかな。電子書籍はいつでも買ってダウンロードできる。良くシリーズものを買う時に「面白くて続きが欲しくなったらどうしよう。また本屋にこないといけないし、時間によっては閉まってて続きが買えないかも」という不安がなくなる。欲しい時が買い時です。(違う)

4.セールやキャンペーンやっている時がある
→これの場合は利用しているストアによって違いが出ると思いますが。純粋に半額セールだったり、ポイント還元だったり。シリーズ作品を追いかける強い味方。それと読み逃してた新作がセールになってると手を出すキッカケになったりもしました。

5.イラストがキレイに見える
→使っているのはタブレット端末に依存する部分がありますが、イラストが印刷物よりもキレイに見えます。気のせいかと思っていましたが、目の錯覚ではなかった模様。どの作品も口絵イラストは一枚で表示できるようになると良いかな。あと使っているアプリによっては字の大きさ等の環境設定もできるので、自分の読書スタイルに合わせられるのも良い。個人的にはKindleアプリにある「読了までの時間」(予想)が表示される設定が好きです。当てになりませんが。(駄目じゃん)

6.破壊活動をされない
これも超個人的理由です。本を置いた隙をついて我が家の怪獣たちが本を破壊します。帯が切れたり、本が曲がったり。本当に悲しいし、本に申し訳なくなる。たまに本を持ち去られて隠され、続きが読めなくなるバグも発生します。まあ良く考えたらワンチャン端末を破壊されて読めなくなる可能性もありますね。(死んだ魚の目)

電子書籍のデメリット】

次から電子書籍にして感じた個人的なデメリットを紹介します。だいたいはメリットの正反対の理由かな。

1.所有欲を満たせなくなる
これが一番のデメリットかな。多くのラノベ読みは文庫を持ってたいし、本棚に並べたいし、床の上に積みたいし、表紙イラストを愛でていたいんですよ。もうこれは魂のレベルで刷り込まれてるからこの所有欲から解放されることはないと思う。僕が完全に電子書籍に移行できていない理由はこれで、お気に入りの作家さん作品はどうしても本で欲しい。

2.書店(実店舗)に貢献できなくなる
次に感じたデメリットはこれ。良く言われてきた「ネット書店で買ってばかりいると地元の書店が潰れる」……お気に入りの書店を生かすためにも実店舗で買った方が良い。ただ自分の場合は自宅周辺にまず書店がない(なくなった)の大きいかな。小さい子供がいると長距離移動して書店に通うのは厳しい。書店の平台に並べられてるラノベを見て買うの、好きなんだけどねえ。今はイーホンで注文する際にお気に入りの書店を指定してそこの売上にする機能がある、みたいですが。

3.クレジットカードに優しくない
欲しい本のワンクリックですぐ買えてすぐ読めるのはメリットである一方、簡単に決済できるのでクレジットカードの明細が怖くなる。一冊一冊の値段は大したことないけど、積もると結構な額になる。なんだよおまえ、キングスライム族かよ。ご利用は計画的に。

4.家族に電子書籍に移行してない人がいる
嫁さんは本派なので、電子書籍で購入しているラノベに手を出しにくい。僕が読む分には大した影響はないのでいっか。(酷い)
ディスプレイ越しだと目がチカチカして読みにくい、と感じた時期もありましたが、乗り越えました。

5.どこまで読んだか達成感が少ない
これ分かってくれる方いるかなー。本だとどこまで読んだのか、本の厚さを見れば分かるし、そろそろ終盤かな、というのも分かる。どこまで読んだか分かるこの達成感というか、何という感覚のか。結構好きで、まあこれに変わるのメリットの5番項に書いた「読了までの時間」だったりします。今物語のどの辺にいるのか、知りたい人なんです。

6.単行本版の装丁のメリットを感じにくい
せこいお話をして申し訳ないのだけど、単行本サイズのラノベはお値段がはります。装丁にお金がかかっているからこれには納得してます。電子書籍では多少は安くなっているが、文庫ほどの価格ではないのに仕様としてはほぼ一緒……というのが、どうも損した感じになる。うん、理由がせこい!

7.電子書籍の配信ストアがなくなる?
最後は疑問形。電子書籍の配信ストアがなくなる(撤退)と今までダウンロードできた本にアクセスできなくなって読めなくなる可能性がある? のかな。


パパッと簡単に書いていこうと思ったら意外と長くなってしまった。はい、「子育て中のラノベ読みが感じた電子書籍のメリットとデメリット」でした。タイトル変わってるわ。ここまで読んで頂いてありがとうございました!

「ソードアート・オンライン24 ユナイタル・リングIII」感想

ソードアート・オンライン24 ユナイタル・リングIII (電撃文庫)

〈あらすじ〉
総務省仮想課職員、菊岡誠二郎との再会。それはキリトとアスナ、アリスを、“大戦”から二百年後の“アンダーワールド”へといざなうものだった。再びあの世界へ降り立った彼らを待っていたのは、ロニエとティーゼの子孫であるローランネイとスティカ、そして。「これが“星王”を名乗る男の心意か。―よろしく、キリト君」“整合機士団”団長を名乗るその男は、かつてキリトが失った“彼”と同じ目をしていて―。一方、“ユナイタル・リング”世界では、キリトと仲間たちを狙う最大の“悪意”がついにその姿を現す!!

最初にあらすじを見たときは「何故にアンダーワールドが出てきた?」と思っていたけれど、あらすじにある展開ほぼ終盤だったのである意味驚いた。ユナイタル・リングの大問題に加えてアンダーワールドの侵入者問題もあって随分と風呂敷を広げてるなあ、というのが印象だがそもそもの風呂敷が巨大だったので何の問題もなかった。まあこの二つの問題も上手いこと一つに結びついていくのだろうけど。

今回アスナの誕生日イベントがあったのだけど、最近思うのはちょこっと年上ヒロインも良いものだなあ、と。たまにアスナは年上気にしてるのが特に良いね。メッチャ尊いです。