飼い犬にかまれ続けて

勝手気ままにライトノベルの感想を書いています。

「SUSHI-BU! 1貫目」感想

SUSHI-BU! 1貫目 (ファミ通文庫)

SUSHI-BU! 1貫目 (ファミ通文庫)


学園部活モノは数多いが、『寿司部』を題材にして新人賞に応募した点は素直に褒めたい。
この題材で勝負するのは怖くて出来ないですわ(笑)

変人奇人が多いが進学率は妙に良い『フリーダムッ!』を校風とする青葉学園花山高等学校。第一志望高に落ちてしまい、滑り止めで受けたこの高校に入学するも『普通』を信条とする主人公は早くも後悔する。更には『イソノカツオ』という冗談のような名前が災いして、『世界一の寿司職人』を目指している江戸っ子口調のチビッ娘先輩江戸前素子に目を付けられ『江戸前寿司部』なる部活に勧誘される。無茶苦茶なだけでなくアホなことばかり言う素子の寿司部に入る訳がない…と断ったのも束の間、カツオの前に現れた美女副部長である越戸紫に魅了され、彼女と一緒にいられると不純な動機で即入部。が、寿司部はまだ部活として許可されておらず、規定人数を確保するために部員を集め始める。

変な名前のせいでトラウマばかり抱えてしまったカツオのこれまでの人生が悲しすぎる。そのせいで普通の人生を送りたいと胸に誓ったのだが、読み進めていくとカツオ自身がかなりの変人。変人揃いの寿司部にノリ良く順応しているのが何よりも証拠。寿司部を中心とした物語展開も王道を外れることなく、部員集めに苦戦し、生徒会の陰謀(?)によって妨害されたりと実に分かりいやすい。しかし寿司部を解散させようとする『地上げ部』、その発想はなかった。部長の素子はヒロインという立ち位置とは違い、部員たちの心の支え…心を熱く滾らせる役を担ってる。あくまでもヒロイン枠は紫と暴力幼なじみ娘の葵か。伊倉ちゃんはただ愛でるものです。

しかし面白い作品であるのは間違いないが、これはひとつの作品として終わりにしてしまった方が良かったような、というのが正直なところかなあ。